「ママお空で見守っててね」子どもたちに励まされる日々
【事故後の生活について】
あの事件の後、「妻のもとに行きたい。またみんなで4人で平凡ながらも幸せに暮らしたい。」と何度も思いました。今でも思うときがあります。3人で海に飛び込んだらママに会えるかな、また4人で暮らせるかな、こんな苦しい思いをしなくてすむかなと思ってしまうのです。
でもそれを直前で止めてくれているのが、妻が産んでくれた子供達の存在です。息子は私が作る料理を食べて「パパのもまあまあおいしいよ。でもママのレベルにはまだまだだね。ママの料理は絶品だからな。」と話したり、娘は「ママ大好きだよ。3人ぐらしになるけどママも大事な家族だよ。ママお空で見守っててね。頑張るからね。ずっとずっと大好きだよ。」というお手紙を書いたりしていました。日々前向きに過ごし成長していく子供達に励まされている日々です。
被告人が書いた謝罪文については、私の代理人弁護士のところに届きましたが、私自身は受け取っていません。被告人や被告人の家族の公判廷での様子を見てもその気持ちは変わりません。謝ってもらっても妻は返ってきませんし、謝罪を受け取ることで、被告人や被告人の家族の贖罪に利用されたくないという思いです。
【最後に】
最後になりますが、私が妻の仏壇に手を合わせ涙する度に、妻から「パパ何泣いてるの?私が一番悔しいし悲しいよ。でも、パパ、もう泣いてる暇はないよね?2人の子供達を守れるのはパパしかいないんだよ。隣でずっと応援しているからね。」と言われている気がします。
これから先、少しずつですが妻とともに新しい家族の形を築いていこうと思っています。ずっと我が家は妻を含めた4人で家族です。そしてこの先、私が天国に行く際にはまた最愛の妻と会い、一緒の時間を共有し、子供達そして次の世代の幸せを祈っていきたいとそう思っています。
検察が禁錮3年6か月を求刑
その後の論告で、検察は「被告は車が必要不可欠とは言えない状況で、自分の運転能力を過信し、運転を続けた」と指摘。1人の命が奪われ、4人がけがをするという結果は重大だとして、禁錮3年6か月を求刑しました。
一方、弁護側は「被告人が不合理な弁解はしておらず、本人なりに反省している」として、情状酌量を求めました。
遺族を見つめる場面もあった被告は、最終陳述で「私の至らなさや不注意で本当に申し訳ないことをした。反省している。」と、改めて謝罪の言葉を述べました。
※この裁判は、23年4月12日に有罪判決が言い渡され、確定しました。