「物価は高騰しているのに給料は変わらない」労働者の不満が高まっているものの、多くの企業は固定費の増加には特に慎重な姿勢を崩していません。賃上げ要求する労働者側と様子見の経営側。その“対峙”した状況が今年の春闘で変わろうとしています。多くの労働組合が去年を上回るベースアップを求める中、イオン九州は「満額回答」をしました。西部ガスも23年ぶりにベアを実施し「賃上げ」の波が広がろうとしています。
◆日本の平均賃金は30年間ほぼ横ばい

今月4日、福岡市天神で開かれた連合福岡の決起集会。約200人が賃上げを求めて、デモ行進を行いました。あらゆるものの値段が上がり、電気代やガス代など、エネルギー価格も高騰が続いています。厚生労働省の調査によると、今年1月の物価変動の影響を除いた実質賃金は、前の年の同じ月と比べて4.1%減少。消費税率が8%に引き上げられた直後の2014年5月以来の減少幅となりました。
連合福岡・藤田桂三会長「賃金引き上げと労働条件の改善で、やりがいを持って働き続けられる職場を一緒に作っていこう」
主要国の平均賃金の推移を表したグラフを見ると、先進国の平均賃金は着実に上昇しているのに対し、日本はここ30年、ほぼ横ばいの状態が続いていて、2015年にはお隣の韓国にも抜かれています。
岸田総理(2月15日)「賃上げは新しい資本主義の最重要課題です。構造的な賃上げを実現し、同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と海外企業の間に存在する賃金格差の解消を目指します」
◆56%の企業が「賃上げ」へ
今年の春闘では、福岡県内の企業も多くの労働組合が去年を上回るベースアップを求めています。要求は九州電力が3000円、西部ガスが6000円、西日本鉄道(西鉄)が9900円などとなっています。

西鉄・林田浩一社長(2月16日)「昨今の様々な物価上昇の状況を踏まえると、まったく配慮をしないとういうわけにはいかない。コロナ禍で頑張ってくれたみなさんに応えていきたいなという思いはあります」
帝国データバンクが今年1月、全国2万7000社を対象に実施したアンケートでは、56%の企業が賃上げを行う見込みと回答。2018年と並んで過去最高の水準となっています。