去年11月以降、イランで女子校を中心に有毒ガスとみられる化学物質がまかれる事件が相次いでいます。これまでに女子生徒1200人以上への被害が確認されていて、イラン当局は100人以上を逮捕したと発表しました。イランでは去年、女性のスカーフ着用をめぐって多くの若い女性が抗議の声を上げましたが、専門家の中にはこうした動きをけん制する意味もあるのではとの見方もあるようです。
イランの女子校で相次ぐ毒ガス事件 なぜ女子生徒が狙われる?

イラン人権センターのツイッターより(7日投稿)
「濡れたハンカチを置いて!救急隊員に来てもらったほうがいい」
ぐったりとした様子の女子生徒。イランの首都・テヘランの東にある街、セムナーンの学校だとされる映像では、何人もの女子生徒が咳き込みながら建物から出てきます。
2022年11月以降、イランでは女子校を中心に有毒ガスとみられる化学物質がまかれる事件が相次いでいます。
目撃者
「1階でガスの臭いがして、2階も臭いがしました」
「ある教室ではペンキのような臭いがしました。生徒を守るため避難させました」
病院に搬送された生徒は・・・

「胸が痛み、歩くと足が少し震えます」
「立ち上がるとめまいがして、全身がしびれて歩けません」
「胃が熱くなり、失神しました」
国営メディアは、これまでに女子生徒1200人以上への被害が確認されているといいますが、イギリスメディアは約5000人が病院に搬送されたと報じています。

一連の事件をめぐって、イラン内務省はこれまでに100人以上を逮捕したと発表。
一部の容疑者について「反政府デモや反政府メディアとの関連を確認できた」としていますが、はっきりしたことはわかっていません。
なぜ、女子生徒が狙われたのでしょうか。

中東調査会 青木健太 主任研究員
「実行主体が特定されていないで、犯行声明も出ていないという中だが、女子教育を認めないような宗教保守勢力が行っているのではないかという見方があります。それから、女子学生を特に狙っているということで、2022年9月以来のヒジャブ着用を巡る抗議デモに参加した人たちを今後参加しないようにけん制するような意味合いがあって、体制側に近しい勢力がやったのではないかというような見方もあります」