打ち上げの成功が、まさに“見えた”直後に一転、「指令破壊」へと至ったH3ロケット。いったい何に「失敗」したのでしょうか。次世代を担う日本の最新鋭ロケット開発で困難を極めたのは、第一段目のロケット。その一段目が無事に想定通りの性能を発揮した直後、まさかの二段目に現れた「エンジンに棲む魔物」とは?従来のH2よりも大きな衛星を、より安い打ち上げコストで宇宙へと運ぶための最新の技術とは?手作り解説でお伝えします。
H3ロケットの打ち上げ失敗
H3ロケット初号機の打ち上げ。成功まであと一歩のところで、残念ながら失敗に終わりました。今回ロケットの第1段はきちんと飛行しましたが、第1段と第2段が分離した後、第2段エンジンが着火しませんでした。「電気系統に異常があった」と見られています。
「指令破壊」とは?ロケットはどうなった?

打ち上げからおよそ14分後、「指令破壊」の信号が送られました。「指令破壊」とはロケット全体の爆破ではなく、第2段の中にある燃料タンクを火薬で割ることです。それによって推進力を断ち、安全に海に落とせるようにします。その後、ロケットは大気との摩擦などで破壊されて沈んでいきます。第1段も、第2段もフィリピン東方沖に落ちたと見られていて、JAXAは「回収する予定はない」としています。また今回、地球観測衛星「だいち3号」が搭載されていましたが、これも失いました。















