【証人尋問 検察側と母親のやりとり】
検察官「S工業の仕事を探してきたのは本人?」

母親「はい」

検察官「S工業に入る前からバイク仲間がいた? どういう認識だった?」

母親「はい。暴走行為をしているとは聞いたことはありませんでした。バイクの後ろに乗せてもらったことはあると聞いていました」

検察官「学校をやめたのはなぜ?」

母親「早く技術を身につけたいからと聞かされました。卒業まであと1年なんで、がんばるよう言いましたが、本人が決めました」

検察官「S工業に行くのをためらったり、嫌がったりしていたと感じた?」

母親「正直、ありませんでした」

検察官「やめさせようと思ったことは?」

母親「酒を飲まされたと聞いたときは思いました」

検察官「1人暮らしを決めたのは本人? どうして?」

母親「本人は、アルバイト先の友人がそうしていているからと…」

検察官「Aは、S工業の社長に部屋を探すのを頼んだ?」

母親「そう聞いています」

検察官「今回の事件、Aのどういうところが悪かった?」

母親「わたしの責任でもありますが、Aの意志が弱かったのだろうと思います」

検察官「短期間で複数の暴力事件を起こしています。それについては?」

母親「正直、毎日のように暴力をふるっていたS工業の洗脳があったと思っています。S工業に入って暴力の世界が当たり前になっていたんだと思います」

検察官「S工業に入ってなければ、こんな事件は起こさなかった?」

母親「そう思うところもありますし、息子の意志が弱かったのだとも思います」

Aの被告人質問では、弁護側が、母親が「洗脳があった」という「S工業」について、掘り下げました。