「同じ目に合わせてやりたい」被害者両親の供述調書

「かわいそうでならない。同じ目に合わせてやりたい」と語った父親は、病院で息子と初めて対面したとき、息子だと分かるまでに時間がかかったそうです。

母親の供述内容によると、Aは事件前から男性の自宅住所を調べて張り込むなどし、男性の職場にも電話をかけていました。

身の危険を感じた母親の提案で男性はホテルに避難し、Aから逃れるために東京の知人のもとで働くことを決めていたそうです。

事件が起きた夜、母親は広島駅にいたそうです。東京に旅立つ息子が乗るバスを見送るためです。しかし、約束の時間になっても息子は現れませんでした。

途方に暮れる母親のもとにかかってきた電話は、息子からではなく、事件を伝える警察からのものだったということです。

事件の動機は? Aと男性の間に何があったのか…「仲良くないのに名前を使われた」

Aは、被告人質問で、事件前の春ごろから男性とトラブルがあったと語りました。

男性がAの名前を使って「もめごと」を起こし、Aはそれに巻き込まれて別の人物から暴行を受けたというのがAの説明です。

弁護人「男性とは具体的には何でもめていた?」

A「ぼくや友人の名前を使って、もめごとを起こしていました」

弁護人「男性が自分の後ろにはあなたやあなたの友人がついていると勝手に名前を使っていた? 何人に対して?」

A「ぼくが知っている限りでは5人」

弁護人「名前を使われたことで迷惑が?」

A「男性がうそをついていたことで相手4人から殴ったり蹴られたりしました」

検察官「男性のどういうところが気に食わなかった?」

A「なんで仲良くもないのに名前を使われるのか分からんかったです」

検察官「男性の会社に電話した?」

A「インスタをブロックされて、やましいことがあるのだろうと思って、会社の電話番号を調べました。連絡取れる人いないかとインスタに上げたことがあります」

検察官「家の住所はどうやった知った?」

A「同じように知って、近くに行ったついでに行きました」

検察官「どうしてそこまでした?」

A「男性のせいで、間接的に暴行を受けたことがあったり、連絡が取れないと、これ以上勝手なことされると困るので、ブロックされて『なんや、こいつ』と思いました」

裁判では、Aの母親も証言台に立ちました。Aが事件を起こすまでには、何があったのでしょうか?