■“ろ過キャンプ(収容所)”ウクライナ避難民をロシアが強制移送か?

南波キャスター:
その一方で避難という意味では、強制移送をロシアがしたのではないかという報道もあります。
ウクライナの避難民の推計(UNHCR国連難民高等弁務官事務所HP)
・国内 770万人以上(4月29日時点)
・国外 約547万人 うち約66万人ロシアへ(4月29日時点)
                      
これについてウクライナ議会の人道委員長は4月20日のロイター通信の取材に対して、「50万人の市民がウクライナからロシアへ同意なく強制移送された」と述べています。

この強制移送について、市民の証言があります。



ウクライナの地元メディア
「ウクライナ・ハルキウ州のある村では2月24日(ウクライナ侵攻開始日)、ロシア軍により電力遮断。ロシア軍が村に侵入し占拠、約1か月間住民らを支配。さらに3月下旬には村民約60人をロシアへ強制移送した」

強制移送された住民
「移送先はロシア国内の"ろ過キャンプ"。やりとりは非常に屈辱的で抑圧的。それは国ではなく、刑務所」

南波キャスター:
実際にこの方はロシア国内の親戚を頼ってベラルーシを経て今はポーランドに避難しているので、こういった証言が出てきているということです。実際に“ろ過キャンプ”(収容所)とはどういうものなのでしょうか。


▼“ろ過キャンプ(収容所)”とは(ニューズウィーク)
親ロシア派と反ロシア派を選別するもの。急ごしらえのテントなどに収容し、衣服や身体検査・携帯電話の履歴などを厳重調査。反抗的な態度や思想があれば容赦ない尋問など非人道的な扱いもある。

さらにBBCによると、ロシアは1990年代チェチェン紛争でも“ろ過収容所”を設置。収容されたチェチェン人は拷問を受けており、多くは消息不明になったということです。

ロシアの主張としては「これまで42万人がウクライナと親ロシア派の危険な地域から自主的に避難してきた」(ロシア ベスコフ報道官  ニューズウイークより)としています。


ただ行き先に関してイギリスのインデペンデント紙は「クレムリンの文書によると、約10万人のウクライナ難民を故郷から数千キロ離れたシベリアや北極圏を含むロシアの辺境に再定住させるために送り出した」ということです。


畔蒜泰助 主任研究員:
おそらく今、ロシアはシベリアとか北極海という非常に人口が少ない地域にあえてウクライナの人たちを移住させるということを考えてるのではないかと思います。