ウクライナ側からの情報によりますと、市民約50万人が、同意なく強制移送されたという話があります。
それとは別の村では約60人の村民がロシアに強制移送され、その移送先がロシア国内の「ろ過収容所」ではないかという情報もあります。
この「ろ過収容所」、収容された人を「親ロシア派」か「反ロシア派」に選別する場所とも言われていて、反抗的な態度を取ると、非人道的な扱いを受けるという話もあります。
ロシアとウクライナの争いが全く収まらない気配を見せない中、一般市民は今後どうなっていくのか?専門家にききました。

■アゾフスタリ製鉄所から民間人100人退避も・・・ まだ1000人近くが中に?


南波雅俊キャスター:
マリウポリにあるアゾフスタリ製鉄所では地下施設に残されていた民間人約100人が国連(国際連合)の支援で、約2か月ぶりに外に出て避難しました。映像では小さな子どもの姿や国連の車両、赤十字国際委員会の関係者の姿なども確認することができます。これについてウクライナとロシアの発表です。

ウクライナ ゼレンスキー大統領(5月1日 ビデオメッセージ)
「戦争が始まって以来初めて2日間の停戦が実現した。女性や子どもら100人以上が退避した」

ロシア側
「ウクライナの民族主義者に拘束されていた女性や子どもを含む80人が解放された」

南波キャスター:
避難民を乗せたバスは、どのようにどこに移動していったのか。アゾフスタリ製鉄所のあるマリウポリから北西に約200キロ、まだロシア軍が進軍していないザポリージャという町に避難しました。


その一方で、オデーサの地元紙によるとこのような報道もあります。

オデーサ地元紙(5月1日)マリウポリにいるウクライナ側兵士
 「民間人の退避直後、ロシアの占領軍はアゾフスタリ製鉄所への砲撃を再開した。約20人の子どもを含む数百人の民間人が製鉄所に残っていた」

南波キャスター:
ウクライナ側100人以上、ロシア側は80人というようなことを先ほどお伝えしましたけれども、実際に製鉄所には1000人ほどの民間人がいるとされていますから、このあと複数回の避難が必要になってきます。こうしたなか、次のような発表や報道がありました。

セレンスキー大統領(5月1日)
「現地時間2日午前8時からマリウポリに残る人々の退避が引き続き行われる」

マリウポリ市長の側近(ロイター通信より)
「2日目の退避が始まった」

ホラン千秋キャスター:
退避に関して、これまで大変難しいのではないかと言われていましたが、今回この退避が成功した背景にはどのようなことがあるのでしょうか?

笹川平和財団 畔蒜泰助 主任研究員:
先日グテーレス国連事務総長がプーチン大統領と直接会談をして、まさにこの退避の問題で合意したということで、国連も赤十字も入る形でのオペレーションが行われました。そこが決定的にこれまでと違う点なのだと思います。

ホランキャスター:
ということは、プーチン大統領は国連や赤十字の言うことであればちゃんと聞くと捉えていいのでしょうか?

畔蒜泰助 主任研究員:
少なくとも今回のケースに関しては、ロシアの戦争の戦略に大きな障害がない範囲内で容認した初めてのケースだと思います。

井上貴博キャスター:
一部報道ではロシアのプーチン大統領は、戦勝記念日に宣戦布告するのではないかと言われています。すると、このウクライナ情勢は年単位などで続いていくのですか?

畔蒜泰助 主任研究員:
今、例えばドネツク・ルガンスクの併合に関する住民投票とか、あるいはヘルソンの分離に関する投票をやるのかやらないのかという、今まさにロシア側が既成事実を作っているというのを見ていくと、もはや停戦和平というところではないところでもう動いている。するとウクライナ側も停戦和平ではない形で、戦闘を続けていくと。ロシア側も戦闘を続けていくというフェーズに残念ながら入っていってしまっているのだと思います。