短歌ファンが衝撃をもって受け止めた作品があります。それが…
「ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。」

現代短歌をけん引する人気歌人でエッセイストなどとしても活躍している、穂村弘さんの短歌です。
歌人 穂村弘さん:
カップヌードルにエビが入っているんですけど、なんていうかすごくかわいそうなエビですねあれ。干からびていて、めちゃくちゃ小さくて、しかも、熱湯をかけられちゃう。
あまりにもかわいそうな感じがして、かわいそうなエビに呼びかけたらどうだろうというふうに思ってつくった変な歌。
2022年10月に山梨県で開かれた、短歌をテーマにした対談イベントで穂村さんの代表作の誕生秘話として明かされました。
対談の相手は2018年に短歌文学の最高峰とされる迢空賞(ちょうくうしょう)を受賞した三枝浩樹さん。この短歌が発表された当時の思いを語りました。

三枝浩樹さん:衝撃を受けた。
三枝さんは「多くの歌人がこの歌をどう読むか頭を悩ませた」と振り返りました。
穂村さんによりますとこの短歌は「ハロー教」という架空の宗教を元にしたもので、何に対してハローというかがポイントだとしています。
そして、3つのもののイメージが遠く離れていても、「3つ揃うとある世界観が生まれる短歌にしたい」と考え、まずは「夜」と「静かな霜柱」を選んだと明かしました。
さらに、3つ目は意外なものにしたいと「カップヌードルの海老」を発想。
その理由は・・・
歌人 穂村弘さん:
干からびて、小さくて、最後に熱湯をかけられてかわいそうだから。

「ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。」
会場にはおよそ200人の短歌ファンが集まっていて、衝撃作の誕生秘話に感嘆のため息を漏らしていました。