エサ代高騰・需要減少「この情勢が5年続いたら残れる人は少ない」

 そんな中で今、頭を悩ませているのがエサ代の高騰です。ロシアのウクライナ侵攻による物流コストの増加や円安の影響でエサ代は約1.5倍に。光熱費も高騰するなど、苦しい経営を迫られています。

 (谷牧場 谷学さん)
 「一番の問題は円安によるエサ高。草食動物なのでしっかりとお腹いっぱい食べさせてやるというのは牛の健康を維持する上では必須なんです」

 エサ代の高騰に加えて、さらに経営を圧迫しているのが生乳の需要減少です。新型コロナウイルスで休校が相次ぎ学校給食の回数が減ったことや、飲食店などでの消費量も減り、供給が需要を大きく上回りました。

 余った生乳は、乳業メーカーが保存のきく脱脂粉乳にして調整していますが、農林水産省の統計によりますと、2021年度はその在庫が約9万8000トンと過去最高の水準になったのです。

 (谷牧場 谷学さん)
 「このままの情勢が5年続いたら、たぶん酪農業界に残れる人は数少ないと思います」

 今年2月14日には、全国から集まった150人以上の酪農家らが東京・永田町で集会を開き、国に窮状を訴えました。

 (北海道の酪農家)
 「廃棄は罪です。やっちゃいけません。ただ(引き下げられた)生産目標のためにやっているに過ぎないんです。今、灯が消えようとしている酪農家を何とか支えていただきたい」
 (千葉県の酪農家)
 「自分の足場もままならない、そんな状況で、仲間がゆっくりと奈落に落ちてゆくさまを見ていても助けられないんです。それどころか自分がまだ続けられることに安堵してしまうんです。何なんですか、この地獄は」