かつて地域の産業の象徴だった“のこぎり屋根”の建物に再び命を吹き込みます。3年前まで稼働していた倉敷市の花ござの工場の建物で今月(2月)19日、芸術家による“すす払い”が行われました。この“すす払い”自体がセレモニーであり芸術の一つだといいます。役目を終えた場所に新たな命を吹き込む「場所のリハビリ」とは…。

「まあ、場所のリハビリということなので、この場所自体に活気を取り戻していくような」

早春の田園地帯に作業を盛り上げる音が響きます。

(柳楽晃太郎さん)「夕日が射していて赤い光に包まれたんですね、それを見た時に、ここは光を十分に感じて、それで何か物を作っていける場所なんじゃないかな」

70年以上前に建てられ、3年前まで稼働していた花ござ工場です。

織物などを手がけるアーティスト、柳楽晃太郎さんらが取り組む「場所のリハビリ」は、物を作り販売する工場本来の機能を、芸術を通じて新たな形で取り戻そうというものです。

(工場の所有者 溝手久弥さん)「終戦後の建物って、なかなかこうどうやって残していくかっていうのがけっこう皆さんテーマに思われていると思うんです。で、花ござが盛んに作られた所ですので、歴史を紡いでいけたら」

「場所のリハビリ」は“すす払い”でスタートしました。美しさを作るという意味では掃除も芸術と考えているからです。

窓からの光を受けながら落ちてくるほこりも芸術のひとつです。こうした場所をリハビリによりアトリエとして再生させます。

芸術家が制作風景を多くの人に見てもらいながら、作品の販売もするというビジネスモデルの確立を目指しています。

(柳楽晃太郎さん)「選択肢を増やしたいなと。もう仕事やめたりとかどっちつかずで塩漬けみたいな状態になってたりすると思うんですけど、そういったちょっと困っているんだという人たちの選択肢の実例ですよね、やって見せるっていう、そういう場所にしていけたらいいんじゃないかな」

すす払いできれいになっていくのこぎり屋根の工場。リハビリ後にどんな輝きを放ってくれるか注目です。