各地に避難したダンサーを支援

 そんな生活が一変したのが去年2月に始まったロシアによる軍事侵攻です。歌劇場は一時閉鎖され、多くのダンサーらが国外へと避難。寺田さん自身もドイツへ避難しました。

 (寺田宜弘さん 去年6月)
 「私の生徒たちから連絡があって『先生、サポートしてほしい』ということだったんですね。それが朝の8時から夜中2時ごろまで、そういうことが3月4月、ずっと続いていたんですね」

 多くの教え子たちから「バレエを続けたい」という悲痛な思いを聞いた寺田さんは、ダンサーたちが避難先でバレエを続けられるよう支援し続けました。

 そして去年夏には、各国に避難してバラバラになっていたダンサーを日本に集め、軍事侵攻後初めてとなる海外公演を実現させたのです。満席となった会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こりました。

 去年10月、寺田さんは約8か月ぶりにキーウへと戻りました。侵攻前に約160人いたダンサーのうち、今95人がキーウにいます。

 【空襲警報】
 「緊急警報がキーウに発令されました。地下の廊下へ避難してください」

 警報が鳴るたびに地下シェルターに避難するため練習を中断しますが、ダンサーたちは踊ることを決してあきらめていません。