FRB元議長やECB前総裁と師を同じくする植田氏 「判断は論理的に、説明は分かりやすく」

植田和男氏はどんな人か。経済学者でアメリカのマサチューセッツ工科大学で博士課程を修了、東京大学経済学部の教授を経て1998年から2005年まで日銀の審議委員を務めた。戦後初の学者出身ということだが、世界の中央銀行のトップは学者出身が多い。

FRBの元副議長で、イスラエル中銀のトップを務めたフィッシャー氏が植田氏の博士課程の指導教員だ。そのフィッシャー氏のもとで、FRBのバーナンキ元議長やECBのドラギ前総裁も学んだ。

ーー中銀コミュニティの中に植田氏はいるわけだ。
東短リサーチ代表取締役 チーフエコノミスト 加藤出氏:
アメリカの元財務長官のサマーズ氏が植田氏は日本のバーナンキだと言いましたが、植田氏は多分そのコメントは特にうれしくは感じていないでしょう。植田氏としては兄弟弟子のバーナンキに自分は負けていないというライバル心があるでしょうから。

植田氏は、就任が報道された日に非常に意味深なことを言っている。2月10日の発言を見ていく。「現在の日本銀行の政策は適切である。現状では金融緩和の継続が必要」、「判断は論理的にすること、説明は分かりやすくすることが重要」と話した。
ーーどう受け取ったか。
東短リサーチ 加藤出氏:
金融緩和の継続が必要というのは、一つは国会で承認されなくてはいけないというのはありますから、そんなにドラスティックなわけではないですよということは言っておく必要もあるでしょう。今の黒田総裁の政策を修正するとしても、依然として金融緩和の範囲でしょうから、その点では今後の方針と矛盾しないのだと思います。
論理的にすること、分かりやすくすることというのは、今の政策があまりにも複雑化してしまい、論理的に説明できないと。黒田氏の政策は、最初はまだ良かったかと思うのですが、だんだんごちゃごちゃしてきてだいぶ精神論的にもなってしまったりして、論理的ではないもの、分かりにくいものがあるので、そこは直すのだと。そうすることが正常化の過程でも混乱を小さくできるということでしょう。
ーー論理的ではないものの代表が長期金利を0プラスマイナス0.5に固定するという制度だ。
東短リサーチ 加藤出氏:
海外勢は今の政策の維持はそう長くはできないだろうということで、また3月も4月もだいぶ売りを仕掛けてくる、日本国債を空売りしてくるでしょうから、そういう意味でもそんなに長く引っ張れない。4月か6月ぐらいには変更があり得るのではないかなと思います。