「尊敬するお子様」最高指導者以外に「尊敬」と呼ぶのは異例
聖なる存在、何か権威を傷つけるという意味じゃないんですか。ジュエは今風の名前なんです。昔の日本なら花子とか、そういう名前はですね、北朝鮮の場合は淑女の「淑」に子供の「子」とか、従順の「順」を使ったりする名前が多かったんですけれども、ジュエは割と珍しい今風の名前ですね。
―――「北メディア異例の表現」ということで李先生が注目されてるのが「金正恩総書記が、尊敬するお子様と軍の宿舎に到着」というふうに報じられたということです。北朝鮮で尊敬するという敬称が、最高指導者以外に用いられるのは異例だというですね。
昔はですね、金日成の奥さんに対して尊敬するという言葉を使ったことはあるんです。しかし指導者以外の人に尊敬するという言葉を使ったのはあんまりなかった。ですから異例と言うべきですね。
―――もちろんこれは、撮影をさせて公開させるというところも計算されているのですね?
もちろんです。それがなければ、そのような子はやっぱり出せないですよね。
―――ただなぜこの時期、このタイミングで?ってなるんですけど。
二つの可能性が考えられるんです。やっぱり金総書記が健康状態が芳しくない。しかし逆に、体がちょっともたないという状況だったら、こういうふうに出さないですよね。
もう一つ考えられるのは権力内部でこの「聖なる家族」「白頭血統」(はくとうけっとう)といいますが、血統が純粋なんですね。そこを脅かす何かの勢力を牽制する意味で「わが共和国はこれからもこの聖なる家族・金正恩一家で背負っていくんだ」っていう。それを印象づけるための演出だったんじゃないかと。