大分県内に甚大な被害をもたらした2020年7月豪雨から2年半余り。今もなお復興に取り組む各地の現状と、旅館業を再開させる男性の思いに迫ります。

生まれ育った合掌造りの自宅に浸水…解体

2020年7月に大分県内を襲った豪雨。土砂崩れや河川の氾濫が各地で発生し、道路や住宅などに大きな被害をもたらしました。

あれから2年半余り。玖珠川の濁流に削り取られ、道路が崩落した日田市天瀬町赤岩の国道210号。440メートルの片側交互通行区間が2月2日に解除されました。国道210号は現在も九重町と由布市湯布院町のあわせて3か所で復旧工事が続いています。

県によりますと、豪雨による道路や河川、砂防の復旧工事は642か所。このうち先月末時点で復旧が完了したのは564か所で進捗率は87パーセントとなっています。

一方、現在も11軒の旅館のうち2軒が休業中となっている九重町の宝泉寺温泉。

(旅館やひろ・中原好浩代表)「まだ資材がいっぱいあってまだ工事が終わってはいない形だけはなんとか」

そのうちの一つ「旅館やひろ」。家族5人は避難して助かったものの、自宅と温泉施設は基礎部分が流され、解体を余儀なくされました。現在、中原さん家族はかろうじて浸水を免れた旅館の一角で生活しています。

(旅館やひろ・中原好浩代表)「この絵が建っていた合掌造りの自宅と洋館です。そこに新しい宿泊棟が建った。ここでうまれて育ったので壊される時は涙が出た」