◆警察からの「警告」逆恨みを恐れためらう人も
この女性と同じようにストーカーの被害に悩みながらも警告をちゅうちょする女性は少なくありません。

NPOヒューマニティ 小早川明子理事長「警察から警告出してもらった方がいいよと言っても、ためらう人は相当いますよね。やっぱり相手を刺激するんじゃないかとか、警察沙汰にしたことを恨むんじゃないかとか思いますし、実際そうなる危険性もあるんですね」
◆引っ越しにも経済的な負担が
警察は加害者に対して警告などを出す一方、被害者には、引っ越しや転職を勧めますが、そこには課題もあります。

50代女性「警察の方は『命の方が大事だから早急に引っ越しをしてください』と言われるんですけど、どうしても私のような低所得者にとって簡単に引っ越し資金を調達することは難しくて」
このように被害者が不利益を被った場合に、引っ越しやホテルの費用を補償する保険もあります。

あそしあ少額短期保険 木村靖浩さん「敷金、礼金、仲介料、様々な費用が10万~20万円では収まらない。そういったお金を常に被害者が負担しないといけないところにすごくストレスを感じてしまうと思うので、保険でカバーしてあげることによって、身の安全を確保してもらいたいという思いはあります。今まで保険は万が一のためにということで入っているが、この保険は万が一ではないので」
◆被害者支援専門機関との連携を

福岡県警によると2021年に受理したストーカーに関する相談は1471件。3年連続、全国最多となっています。専門家は、禁止命令を出した後に加害者に警察官が接触することや、医療機関で治療させることが必要だと話します。

NPOヒューマニティ 小早川明子理事長「オーストラリアでは刑罰と共に治療を命じることができ、拒否したら収監される法律があるが、日本の法律はそうなっていない。被害者支援をいつもやっている専門機関、DV防止センターとか女性センターとかがあるわけで、彼らの力を借りるというのが大事だと思っています。警察署に来てもらって一緒に話をするとか、連携が必要ではないかなと思います」