シェアは最盛期の6分の1 日本の半導体衰退の教訓を生かし世界に貢献を

日本の半導体産業は日米半導体協定(1986年)などを結んだころは高いシェアがあったが、6分の1ほどにまで落ちてしまっている。

ーー半導体製造装置メーカーの立場からずっと半導体産業を見てきて、日本の半導体がここまで衰退してしまった大きな原因はどこにあったと思っているか?

ラピダス 東哲郎会長:
よく言われていることですが、全部垂直統合で自分の傘下に持っていくという自前主義や、マーケットもどちらかというと国内マーケットで、世界のマーケットの中で自分たちがどこを狙うかということに対する戦略が欠落していたと言いますか、いわゆる世界の潮流から外れてしまった。ギアが噛み合わなくなった。日本にあまり期待できなくなってきたというところが、これだけシェアが落ちた大きな原因ではないかなと。そういう中で、新しい産業やアプリケーションを日本が独自に生み出して世界に貢献するということでマーケットを作っていけば、それなりのことができたと思っています。

ーー今回のラピダスではその教訓は生かして世界のユーザーと密に向き合っていきたいと。

ラピダス 東哲郎会長:
日本の出資していただいている民間の方ともいろいろ協力して、そういうものを編み出していきたいと思っています。

ーーラピダスの工場はどこに作るつもりか。

ラピダス 東哲郎会長:
まだそこは決まっていません。決まりましたらお話したいと思います。

ーー今TSMCの誘致やユーザーであるAppleも日本に工場を作るかもしれないなどいろいろな話がある。日本である種の半導体産業クラスターを作っていかなければいけないという認識か。

ラピダス 東哲郎会長:
戦略としてはそうですね。そういう基盤になるものを持つということは非常に重要です。拠点という意味で言うと日本だけに限らないで、例えば設計が得意なアメリカにも拠点を持つというようなことを考えて、世界の優秀な人材が集まるような仕組みを作っていくことが非常に重要だと思っています。

ーーやっているのは日本だが、ロケーションという意味では日本に限らなくてもいいのではないかと。

ラピダス 東哲郎会長:
基盤になるようなところを抑えて戦略的にやっていくという形になると思います。

ーーそこには経済安全保障の観点もあるのか。

ラピダス 東哲郎会長:
そういうことをしながら日本の産業の競争力を強くして、世界で貢献できるという形になるのがベストではないかなと思います。

(BS-TBS『Bizスクエア』 2月4日放送より)