1日およそ500隻の船が行き交う海の難所・来島海峡では、世界でも珍しい順中逆西と呼ばれる航行ルールが定められています。

ここでは、6時間ごとに潮の流れが変わり、潮が北へ流れる=北流の時は世界の航行ルールと同じ「右側航行」です。

一方、潮が南へ流れる=南流の時は「左側航行」になり、潮の流れに乗っている船は馬島の東側を、潮の流れに逆らう船は馬島の西側を航行しなければなりません。

事故当時の潮の流れは「南流」で「左側通行」だったため、来島海峡航路の出入口付近で右側通行に戻る船左側通行に変える船の航行ルートは交差することになります。

今回の衝突事故はこの海域で起きたと見られています。専門家は、来島海峡の中よりも出入り口の方が危険性が高いと指摘します。

海事補佐人 鈴木邦裕さん
「来島海峡では、海上交通センターが色々な助言をしてくれるんです。『このまま行ったら危ない』『ぶつかる』など、警告をしてくれる。ここ(来島海峡)を出るとき、船の向きが真正面から向かってくるなど変化する。だからここは危険」

海事補佐人として海難審判に携わっている鈴木邦裕さんです。この海域では「見張り」が特に重要だと言います。

「こういった小型船はひとりで当直をする。その当直者が、何もかもをこなす。見張りをする、レーダーを見る、AIS、GPSを見る、汽笛も必要ならば鳴らさなければいけない。」

今回事故を起こした2隻は、いずれも1000トン以下の船で、見張りを担当する船員は通常1人しかいないため、負担が大きいと指摘しました。

海上保安部は、業務上過失往来危険の疑いで捜査に着手しました。