去年1年間の特殊詐欺の被害額が361億4000万円に上り、8年ぶりに増加に転じたことが警察庁のまとめで分かりました。

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察が認知した刑法犯の件数は、60万1389件でした。

2002年をピークに認知件数は減少を続けていましたが、戦後最少となった前の年の56万8104件を上回り、20年ぶりに増加に転じました。

自転車泥棒など街頭での犯罪件数が前の年に比べ14.4%増加していて、警察庁は、新型コロナの自粛要請が解除され、繁華街での活動が活発になったことなどが増加の背景にあるとみています。

特殊詐欺については、認知件数が1万7520件と2年連続で増加し、被害額も前の年から79億4000万円増えて361億4000万円となり、8年ぶりに増加に転じ、深刻な状況が続いています。

詐欺グループの主犯格が海外から指示を出していたり、国内でも、車で移動しながら詐欺の電話をかけて架け場の特定を難しくさせたりするなど、摘発が困難なケースが増えているということです。

全国の警察が児童虐待や、その疑いがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数は、11万5730人で過去最多を更新しました。

一方、警察庁が去年10月に行った治安に関するアンケートでは、近年「日本の治安が悪化した」との回答が67.1%を占めました。

7月には安倍元総理銃撃事件のような重大事件が発生し、さらに各地で、SNS上の「闇バイト」に応募したとみられる実行犯による強盗事件が相次ぐなど、警察庁は、「わが国の犯罪情勢は厳しい状況」と分析しています。