総理が国会に出席しなくなる?"異例人事"で波紋も

二つの法案の行方と並んで注目されるのが、改造内閣で国対委員長に就任した村井英樹氏の存在だ。
村井国対委員長は岸田政権下で官房副長官・総理補佐官を務め、総理の多忙ぶりを間近で見てきた経験を持つ。就任前には自身のYouTubeチャンネルで「総理の国会出席について見直すべき」との考えを公言しており、就任後には「総理の委員会出席は原則不要」とする民間シンクタンクの提言をSNSでリポストしている。
「充実した審議が大前提であることはもちろんだが、総理の国会出席が非常に大きな負荷になっているのではないか」というのが村井氏の基本的なスタンスだ。
これに対し、野党は強い警戒感を示している。中道会派・民主改革の会の後藤祐一国対委員長は「民間のシンクタンクの報告書で総理は委員会に原則出席しないでいいという話もあるが、ちょっとそこまで言われると心配になる」と懸念を示した。衆参の野党国対委員長会談の場でも「国会改革の名の下で総理の国会出席がさらに削られることへの懸念」が相次いで上がったという。
奥村記者は「総理の出席時間がさらに短くなることは、与野党の国会日程の交渉などでさらなるハレーションを生む可能性がある」と指摘。消費税減税も定数削減も、与野党の丁寧な合意形成が前提となる中で、総理の出席問題が新たな摩擦要因として加わることになりかねない。
参議院側では、先の国会で幹事長を務めた石井氏に代わり青木一彦氏が新幹事長に就任。国会対策経験が豊富で、立憲の斎藤国対委員長とは当選同期という関係から、野党との交渉での活躍が期待されている。
佐藤記者は「参議院自民党内では、内紛や確執よりも1つにまとまって野党に対峙し法案を通していくという方向に考える人も多い」と述べた。
最終的に法案審議の行方を左右するのは、衆議院段階での与野党協議の質だ。「衆議院で野党との交渉が崩れたり、もつれると、その状態がそのまま参議院に持ち込まれる。まず衆議院の入口から与野党協議を充実させることが大事」と佐藤記者は指摘する。
奥村記者も「野党が衆議院でバラバラになって与党側に付いてしまえば、参議院でまとまった勢力として戦うことはできなくなる。1つ1つの法案審議において、野党が一致して政府与党と向き合えるかが重要な要素になる」と見ている。
高い支持率を維持したまま臨む秋の臨時国会。しかし消費税減税、議員定数削減という2つの焦点はいずれも、参議院という高い壁が立ちはだかる。野党工作の成否、維新との連立維持、そして国会運営をめぐる与野党の攻防――69日間の会期の中で、その答えが出ることになる。














