■難民認定率は「0.7%」 日本の異常性

ペニャさんは日本で難民申請したが、認定されることはなかった。

日本で難民認定されるには、その人が自国の政府などから個人的に命を狙われ、生命や身体の自由が脅かされるなどの「迫害のおそれ」を証明しなければならない。この「迫害のおそれ」を証明し、日本で難民認定されるのは、0.7%(2021年・難民支援協会調べ)という狭き門。
ペニャさんも、その「迫害のおそれ」が証明できないとされたのだ。

難民問題に詳しい駒井知会弁護士は、「ペニャさんは『自国政府からの迫害ではない』との点で難民として認められなかった。解釈が極端に狭いことが、難民鎖国と呼ばれてきた日本の課題」と指摘。

「仮放免は収容されないものの結局何もできない。その状態が数年続けば、人間の尊厳は打ち砕かれてしまう」と話した。

政府専用機で羽田空港に到着したウクライナ避難民(2022年4月5日)

ペニャさんが2度目の難民申請の準備をしていた2022年春。ウクライナからの避難民が日本に到着し、空港で歓迎を受けるニュースが連日のように報じられていた。ペニャさんは、その姿を複雑な気持ちで見つめていた。

「僕は26、7年間日本に住んでいます。そのうち12年は難民申請の結果を待っています。日本は今ウクライナの人を積極的に受け入れているし、お金の支援もある。ウクライナの人はもちろん助けたい。でも、日本の中を見てください。僕だけじゃなく、仮放免の人がいっぱいいます。私たちはいつ・・・」

ペニャさんは今も、再び厨房に立つ日を夢見て難民申請の結果を待っている。

※この記事はTBS NEWS DIGとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。