毎年9月10日から16日は国が定める「自殺予防週間」です。この1週間、各地で悩み相談や自殺を防ぐための啓発活動が行われています。小中高生の自殺者は2025年に538人と過去最多となっています。8月後半から増加し、特に夏休み明けの9月1日に多くなる傾向があり、月別では直近の2024年と2025年はいずれも9月が最多となっています。

子どもへの自殺予防教育に絵本の読み聞かせ

そんな中、画家で絵本作家の夢ら丘実果(むらおか・みか)さんによる、絵本の読み聞かせを通じた自殺防止や心の健康のための「命の授業」が9月1日に東京・中野区の中野第一小学校で行われました。

『カーくんと森のなかまたち』は、子どもたちの「うつ」や自殺予防を目的とした絵本で、夢ら丘さんが絵を、同じく絵本作家で児童教育評論家の吉澤誠さんが文を担当しています。

吉澤誠さん(左)と夢ら丘実果さん(右) ※本人提供写真

この日は、6年生4クラス120人ほどの児童が体育館に集まり、夢ら丘さんが『カーくんと森のなかまたち』を朗読しました。

物語の主人公はホシガラスのカーくん。ホシガラスはカラスの仲間で体に白い斑点があります。カーくんは「自分は色鮮やかではないし、鳴き声も美しくない」と劣等感を持って生きる自信をなくしていましたが、仲間の鳥たちに励まされて、自分も必要とされているんだと気付くストーリーです。

夢ら丘さんは、この読み聞かせを通じて「悩んだら誰かに相談すること」、「悩んでいる人がいたら声をかけてあげること」が必要だとして、「人は支えあって助け合って生きている」「ひとりひとりの命はかけがえのない尊いものだ」と訴え、児童は真剣に聞き入っていました。

児童への読み聞かせの様子 ※提供写真を加工しています

その後、児童はそれぞれの教室で感想を発表し、活発に意見を交換し合いました。6年生の子どもたちの感想です。

●友達が何か悩んでいたり、授業中あんまり喋ってなかったり、そういう子に「大丈夫?」って声をかけたりしていきたいなと思いました。

●人は1人では生きていけないし、だからこそ1人1人が助け合って支え合わないと生きていけないんだなと思いました。何気ない一言や行動が自分にとっても相手にとっても大きな力になるとお話を聞いていて思いました。

●命は1人1人にある大切なものだということを改めて感じました。それと、どんなことがあっても生きると思う気持ちそのものが大切なものだと思いました。

●僕は今までに3回くらい自分の存在価値を失ってるんですよ。今日の授業を受けて、その時のことを客観視できたから、ちょっとは心の整理がついたかなと思いました。

夢ら丘さんは「今日の話を聞いて、自分も生きてていいんだとか価値があるんだという感想が出てくると、授業ができてよかったなと思います。1回の授業でそれだけの心の変化を生み出したということなので、本当に心を込めて届けることで、きっと響いているものがあるのかな」と話します。

また、この学校では去年も4年生の児童に命の授業を行っていて、今年は2回目の授業となりました。中野第一小学校の三宅慶進校長はこう話します。

去年の授業を聞いて、これから中学・高校に向けて育っていく多感な子供たちにとって、メッセージ性が強いなと感じたので、今回は6年生への授業をお願いしました。やっぱり不登校傾向の子は複数いますので、そういった意味では今日子どもたちも「自分が主体的に動くんだ」とか「困ったら声を上げるんだ」という感想を言ってくれたので、これから一層、不登校であったりいじめであったり、そういった困った時に声が上げられるような環境作りを、一歩先に進められたのかなと思っています。(三宅校長)