高市政権の安保戦略に「強い警戒感」中国の思惑は

防衛研究所 増田雅之 中国研究室長

Q.取り締まりを強化する地元当局の姿勢をどう見ますか?

増田雅之 中国研究室長
中国海警局は2023年以降、法執行プロセスの内規を整備し、尖閣諸島周辺でほぼ毎日パトロールを実行しています。中国はこうしたモデルを制度的に作り上げてきました。さらに、最近は日中関係が悪化していて中国が新たな手を打つのではないかという懸念が日本で高まっています。

一方、中国は準備をすることと実際に手を打つかどうかということを分けて考えているのだと思います。これは、レアアースや軍民両用品の輸出管理などでも当てはまります。様々なエスカレーションを可能にする態勢を準備して日本側の警戒感や恐怖心を煽りつつも、中国共産党は当局が管理する形でのシナリオの展開を求めています。今のところ準備した態勢を完全に実行に移していません。

中国は現在の高市政権の安全保障戦略を強い警戒感を持って見ているのだと思います。

加えて、日本がアメリカを巻き込み、日米同盟の抑止力や対処力を強化する展開も中国は想定しています。したがって、中国が漁船の動きや海上民兵を示唆する動き、海警局や軍の動きを一方的にエスカレートさせることによって、新たな日本・アメリカの対応を招く可能性も考えていると思います。中国としては、対中抑止システムとしての日米同盟のさらなる強化に繋がることは避けたいと思っているのではないでしょうか。

16年に漁船団が尖閣諸島周辺の海域に来ましたが、それ以降は今年も含め、当局が管理をしながら政治的なメッセージを日本側に伝えるということだと思います。

出港に向け準備をする漁船団(8月16日福建省・漳州市)