中には歴戦の猛者の姿も ひょっとして仲間にかじられた?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ところで、オオゴキブリを観察していると、ときどき翅や触角が欠けて、なんとも『年季の入った』姿をした個体に出会います。

まるで歴戦の猛者です。朽木の狭い隙間を歩き回る生活ですから、木に擦れたり、何かにぶつかったりして傷んだ可能性は考えられます。

そして、もう一つ気になるのが、『これ、仲間にかじられたんじゃない?』という説。

ゴキブリ類では、死んだ個体などを食べる共食いが知られています。飼育下で複数個体を観察していると、触角や翅などが傷ついていくように見えることもあり、『ひょっとして共食い?』と思うこともあります。

ただし、個々の傷が本当に仲間によるものなのか、木との接触によるものなのかを、見た目だけで判断することはできません。

本人、いや、本ゴキブリに聞いてみないことには真実は分からないのです。

昆虫にも傷を修復する仕組みはありますが、成虫になってから失った翅や触角などが、元の形に完全に再生するわけではありません。

特に翅は成虫になったあとに大きく作り直されることがないため、成虫になってから傷つけば、その傷は基本的に残ります。

そう考えると、欠けた翅や触角は、何があったのかは分からないけれど、長く生きてきた、たくさんの仲間に囲まれて生活してきた証なのかもしれません。

木に擦れたのか。何かに襲われたのか。あるいは、仲間にちょっと試食されたのか。真相は、オオゴキブリ本人だけが知っています」