岸田総理はGDP比2%を目標に、防衛費を5年で43兆円と大幅増額する方針。日本の防衛・安全保障の大きな転換点…、民主党政権で防衛大臣を務めた北沢俊美さんは、現状の議論に警鐘を鳴らします。

長野県区選出で参議院議員を4期務めた北沢俊美さん84歳。旧民主党が政権を担っていた2009年からおよそ2年間、防衛大臣を務めました。

1月上旬のJNNの世論調査では5年間で43兆円の防衛費の増額について、「賛成」が39%、「反対」が48%。防衛費増額のための増税には71%の人が反対しています。

「自民党は国債で、借金でやれという。それは、党は増税でやれば国民の反対を受けるから。この問題が十分に議会も含めて煮詰まっていないから、こういう「ちぐはぐ」が起きる。防衛力増強はいい、それは賛成派が多いわけでしょ」

「その人たちに税金で賄うというと税金は嫌だというわけでしょ。ということはね、きちんと議論が成立していない証なんですよ。自民党の中も43兆円、それで2%だといって、さあ、世論も後押ししていると」

「財源はなんですかといったら、増税はダメだと、増税でやれば次の選挙でたたかれると。こんな無責任な話はない。こういうことをきちんと整理していくと議論が煮詰まっていない。国民も全体像を知らない」

「だから予算編成をする防衛省も私が聞いた範囲では、いきなり1兆円近く増やせと言ったって、そんなにすぐあれが欲しいこれが欲しいということないから、通常の予算編成で削られるものも全部含めてとりあえず出しとけと、こういう話でしょ」

北沢さんは、ロシアのウクライナ侵攻を背景に中国による台湾有事への不安が情緒的に語られているとし、今こそ冷静な外交努力が必要だと話します。

「(安保)3文書読んでも名指しで中国や北朝鮮、まあ中国と北朝鮮の状況は違うけれども、名指ししているんだよね、要するに外交で有事を抑止していくという努力は全くないままに軍事だけで抑止しようと。だけど本当にね、(人口)14億の中国と軍事でもって日本が先頭に立って対抗するのかという話になれば、それは数の論理からしても無理な話」

「だから外交努力が大事なんだよね。アメリカの力が少し落ちてきているのは確かな話なんだけれども、それを日本が賄うなんて言うことはできるはずもないはずで、非常に危険な状況に入り始めたね」