通常国会が開会しました。岸田総理は、GDP比2%を目標に防衛費を5年で43兆円と大幅増額する方針で、今国会ではその財源などをめぐり激しい論戦が予想されます。
日本の防衛・安全保障の大きな転換点…。民主党政権で防衛大臣を務めた北沢俊美さんは、現状の議論に警鐘を鳴らします。

長野県区選出で参議院議員を4期務めた北沢俊美さん84歳。旧民主党が政権を担っていた2009年からおよそ2年間、防衛大臣を務めました。日本の防衛トップとしての連続在任期間は歴代2番目の長さです。
北沢さんは、岸田政権の防衛費の増額方針は数字ありきで進んでいると批判します。
「唐突に5年間で43兆円に上積みするということが出てきて、23年度の予算が提出されるわけだけど、すべて事の進め方が間違っているんだよね。戦後七十数年間にわたって専守防衛で、必要最小限度の軍備を持つということできたものを、何で急に…、ロシアがウクライナに攻めたから欧米並みに(GDP比)2%、それで43兆円という金額をはじき出した」
「軍事というのは日進月歩で新しいものを作り出していくから、今までこれだけで良かったものが、相手の例えばミサイル能力にしても北朝鮮もそうだけれども、私が大臣やっているときは北朝鮮のミサイル能力とかそういうものは潜水艦から打ち上げるなんてことは想像もできないような国の実情だったものが、今やいたるところから打ち上げる」

「そういうものに対処するための防衛費の増大というか、新しいものにシフトしていくのは当たり前。私も大臣として、憲法9条に基づく専守防衛を中心に、その範囲の中で世界情勢に合わせた防衛力を増強していく-私は限られた範囲の中で精強な部隊を作るのが一番大事だと、ほぼ2年間やってきましたからね。ところが今やっていることはそういう積み上げみたいなものは何もない。まず金額ありきだから非常に乱暴な話だね」