当たり前に海に来られる権利を

榊原さんが車いすの友達のために砂浜にベニヤ板を敷いた日から12年が経ち、離島なども含め全国各地でこのバリアフリービーチは広がってきました。車いすで「眺める海」から「体験する海」へと変わったわけですが、運営する榊原さんはこれを当たり前のことにしたいといいます。

当たり前になってほしいんですね。特別な場所にしたくないんです。だからきょうは特に何もないじゃないですか。今までは「バリアフリービーチ」っていうノボリを立てていたんですけれど、もう今年からは無しで。海に来るのは当たり前なんですよ。海に来られる権利を彼らは持っているんです。その権利を実行できるかできないかの話なので、この環境が世界では当たり前なんですね。それをもっと知ってほしいなと思います。もう一つは、医療関係者に「あなたはこれしかできませんよ」と言うのか、「あなたはここまでできますよ」と言うのかで当事者と家族の気持ちは全く違うので、ぜひこういった活動を知っていただきたいと思っています。(榊原正博さん)

今回の取材で私も、決して特別に区切られた場所じゃないなと感じたのが、車いすのためのマットの上がとても歩きやすいので、一般のベビーカーなども普通に通っていたという点です。車いすに優しいということは、ベビーカーにも優しいですし、例えば台車をひく宅配業者にも、誰にとっても優しいということです。

この日も休日で、多くの海水浴客でにぎわっていた葛西の海水浴場ですが、バリアフリービーチのための特別な看板やエリアの設定はされていないので誰もが等しく、同じ海を体験できるビーチとなっていました。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当 TBSラジオキャスター・加藤奈央)