同じ「黒」でも、意味はバラバラ
バッタという大きなくくりで見ると、体色の変化は決して珍しい現象ではありません。
ただ、ちょっと珍しい黒化個体が出る種類もいれば、黒っぽい個体も普通にいる種類もいます。
さらには、周囲の環境や仲間の密度によって姿が変わる種類なんていうものもいます。
同じ黒いバッタに見えても、その黒さの意味はバラバラなんですね。
では、黒いバッタを見つけたら、まず何を見るのがよいでしょうか。
これは黒いバッタだ! 珍しいぞ!…と、いきなり大騒ぎするのは少し早いですね。
まず、そのバッタが何という種類なのかを見分ける必要があります。
バッタの種類を見分けるには、体の形、頭部や胸部の形、翅の模様、後脚、触角…など、色以外の特徴が重要です。
特に幼虫では翅がまだ発達しておらず、図鑑に載っている成虫とは姿が大きく違うため、種類を判断するのが難しいですね。
黒い、という情報だけでは、種類を決めることはできません。
今回のように、珍しい黒いバッタかな?と思った場合も、まずは、黒いからトノサマバッタ!と決めつけるのではなく、体の形や模様などを一つずつ確認していく必要があります。
黒いバッタを見つけたときに「珍しい!」と感じるのは、とてもよいことだと思います。
普段からバッタを観察していて、あまり黒いものを見かけない、と気づいたからこそ、黒いバッタって珍しいんじゃない?という疑問が生まれたわけです。
そして、もう一歩進んで、なんで黒いんだろう?と考えてみる。
これは、当たり前のようでいて、生き物の生きざまを知るための、とても大事な疑問です。
昆虫の体色、環境との関係、さらには仲間の多さによって姿まで変えてしまう相変異など、そこからどんどん面白い生物学の世界へ入っていくことができます。
もちろん自然界には、なぜこうなっているのかが、まだよくわかっていないこともたくさんあります。
なんでだろう?を入り口に、少しだけ立ち止まって、その生き物のことを想像してみる。
もしかすると、その一匹の黒いバッタが、知らなかった自然科学の世界へ、こちらこちらと手招きしてくれているのかもしれません」














