使いにくい方が「成績がいい」という逆転

広告を簡単に閉じられるようにすれば、ユーザーには親切です。しかし広告を見る時間は短くなります。広告を画面に固定すれば邪魔になりますが、表示時間は延びます。

広告を大きくすれば記事は読みにくくなります。広告は目に入りやすくなりますがユーザーには不親切な画面になってしまいます。

さらに問題になるのが「クリック」です。クリック数が広告の効果を測る指標の一つになる場合、「この商品が気になる」と押しても1クリック。広告を閉じようとして間違って押してしまっても、表面的には1クリックです。

Googleなど広告配信事業者のポリシーでは、意図的に誤クリックを誘う広告配置は禁止されています。それでも広告の表示時間やクリック率など一部の指標だけを「良い広告の判断条件」として優先すると、ユーザーには使いにくいデザインが「効果の高い広告」として生き残る可能性があります。

こうした「行きすぎ」は、広告を出す側にとってもマイナスです。閉じにくい広告に閲覧者がいら立てば、サイトだけでなく、広告の商品や企業への印象まで悪くなりかねません。

クリック率など数字の上では効果があっても、ブランドへの評価は下がる。しかも、こうした損失は数字には表れにくいところに、ネット広告の難しさがあります。

ユーザーにとって使いやすいUIと、広告の数字が良くなるUIが一致しない――。ネット広告が抱える大きな矛盾です。