ネットは「どの方法が一番効くか」を実験できる
FTCの消費者保護局は2022年9月、「Bringing Dark Patterns to Light(ダークパターンの実態を明らかにする)」と題する報告書をまとめました。
報告書は、消費者を意図しない選択へ誘導する手法自体はインターネット以前から存在していたと指摘します。あらかじめチェックの入った同意欄、見つけにくく読みにくい注意書き、分かりにくい解約手続き。
こうした手法は、ネットが登場する以前から使われてきました。
しかし、インターネットによって規模と速度が決定的に変わりました。FTCは報告書で、商取引のオンライン化に伴ってダークパターンが「大規模かつ巧妙」になり、企業がさまざまな手法を実験し、その中から最も効果的なものを選べるようになったと指摘しました。
実店舗が客の反応を見てディスプレーを変えるには手間がかかりますが、ウェブでは何万人、何百万人というユーザーに異なる画面を見せ、どちらの反応が良かったかを短期間で測定できます。いわゆる「A/Bテスト」です。
行き過ぎた例も紹介されています。実際に自分の信用度(クレジット)を調べることができるサイトの運営会社は、A/Bテストで反応が良かったことから、カード申し込み広告の表現に「あなたは事前承認済みです(pre-approved)」と表示していました。ところがFTCによると、「事前承認済み」と表示されて申し込んだ人の3分の1近くが実際には審査で落とされました。
審査を受けた結果、消費者の信用スコアが下がったケースもありました。FTCは2022年に同社への措置を発表し、翌2023年、この会社に、消費者への補償に充てる300万ドルの支払いを命じました。
クリック率だけを見れば「成功」でも、消費者にとって良い結果とは限らない。A/Bテストが生む問題を象徴する事例です。














