深刻な人手不足の現場で進む「当たり前」の見直し

巨大な重機が音を立てる建設現場。東京・石神井川では氾濫を防ぐための護岸工事が行われていた。現場責任者として作業員たちにテキパキと指示を出すのは、巴山建設の積香晨音(せき・ことね)さん(25)だ。

現場責任者として働く、積香晨音さん

高齢化と若手不足が著しい建設業界で、巴山建設は「女性が働きやすい環境づくり」を人材確保の切り札に据えた。現場には男性用とは離れた場所に「女性専用トイレ」や「女性専用休憩室」を整備。積さんはこうした取り組みについて「女性の就業意欲を促進させるための大事な仕組み」だと強調した。

同社社長の巴山一済さんも「性別問わず、誰もが働きやすい環境をつくることが会社の生き残りにつながる」と語った。

現場に設置されていた女性専用休憩室。中には姿見鏡や日焼け止めが用意されていた。

また、大手医療機器メーカーの「テルモ」では、工場着のズボンを30年ぶりに「白」から「紺」へ変更した。下着の透けや月経漏れに対する女性社員から強い不安の声があがったためだ。マタニティ用の工場着も新設した。

改革を推進した、常務経営役員の八木宏さんによると、社内では、これまでの習慣に慣れた一部の社員からは変更に困惑する声もあがったという。しかし「いままでのやり方を変えない理由にはならない」と判断した。

工場着の改革を進めた結果、現場からは「下着の透けや月経の漏れを気にせず、仕事に集中できた」などとポジティブな意見が広がり、社員が安心して働き続けられる環境が整ったという。

新たに導入された、マタニティ用の工場着