遥拝決断の裏側には…この夏の「複雑な事情」

海洋進出を強めるなど覇権主義的な動きを見せる中国。核・ミサイル能力を強化する動きを見せる北朝鮮。そして、こうした北朝鮮の核・ミサイル開発と連携するロシア。これらの動きに対応するためには、日米韓の安全保障連携が不可欠な情勢だ。

(5月19日、日韓首脳会談)

そのなかで現在、日本は韓国と良好な関係を保っている。私自身も5月に李在明大統領の故郷でおこなわれた安東での日韓首脳会談を取材したが、現地での歓待ぶりも目立っていた。同行筋は現在の日韓関係を次のように評価していた。

日韓首脳会談に同行した政権幹部
「韓国とこういう関係でいられるのは一時期の冷え込みを考えると素晴らしいこと。首脳会談で同席をしたが、昨年10月の初会談以来積み重ねてきた信頼関係がますます強固となっている。両国は率直に意思疎通ができる関係を築けてきていると深く実感をしている」

複雑な東アジア情勢のなかで高市総理は良好な日韓関係の維持を重視したほか、韓国の政治スケジュールも高市総理の判断に影響をもたらした。

それは8月17日におこなわれた韓国の与党「共に民主党」の代表選だ。代表選では李在明大統領の側近であるキム前首相と、李大統領と距離があり歴史問題をめぐって日本に厳しい姿勢を取るチョン前代表が有力な候補とされていた。結果的に李大統領の側近であるキム氏の勝利となったが、高市総理はこの韓国の選挙日程を念頭に置いていた。

北朝鮮がロシアにミサイルや兵士を送るなど複雑な東アジア情勢において、良好な日韓関係を維持して欲しいと考えるアメリカへの配慮が必要だったこと。そして高市総理が個人的な信頼関係を築く李大統領の側近が出馬した韓国の与党代表選が8月17日にあったこと。こうした状況を踏まえて、高市総理は周囲に「この夏は特に複雑な事情があった」と話している。