北海道京極町の農業法人で働く特定技能のミャンマー人労働者たちが、法人を実質的に運営する町議やその息子から暴行や不当な給与天引き、凄惨なセクハラ被害を受けていた問題。19歳~33歳の女性4人が逃走する前に、暴行・暴言の動画や音声が記録されていた男性も脱出していた。全国の支援ネットワークや労働組合の手で被害者らは札幌の教会等に無事救出・保護されたが、実質的に運営する親子は取材に応じず、不当な労働環境の闇は深まるばかりだ—。《HBC報道部 山﨑裕侍 熊谷七海》
「真夜中のライトは希望の光だった」労働組合と教会、行政書士が結んだ救出ルート

食事の前に、取材の場に同席していた札幌地域労組の鈴木一顧問があいさつをした。
「少しでも人権問題にみんなが気づいてくれればと思います。おそらく彼女たちに起こっていることは氷山の一角だと思います。まだまだひどい話が日本中に埋もれていると思うので、そういうことを啓発するきっかけにもなると思います」
札幌地域労組は、1974年に結成された札幌市を中心に活動する労働組合だ。企業内の組合と違い、個人加盟も可能な地域型ユニオンで、正社員だけでなく、パート、派遣、アルバイトなど一人でも加入でき、労働相談や会社との交渉を行っている。
技能実習生の問題では、タレントの田中義剛氏が社長を務める花畑牧場がストライキを行ったベトナム人従業員を雇い止めにした問題や、栗山町のきのこ工場でのベトナム人技能実習生の不当解雇問題など、数々の外国人労働トラブルを解決に導いてきた。
京極町の農業法人で働いていたAさん(33)は7月17日に、残り3人は7月29日に脱出し、鈴木氏とつながりのある教会に保護された。真夜中、寮の部屋で鈴木氏が運転する車のヘッドライトを見たとき、Cさん(20)は「希望の光だ」と感じたと笑顔で話した。
彼女たちを保護しているのは原和人牧師。家賃は無料で、食費も寄付などでまかなっているという。
札幌市内のキリスト教会 原和人牧師
「教会にやってきた最初はやっぱり加害をした人たちも日本人だし僕もその日本人の1人だから、ずいぶんと警戒の目で見ていたと思います。この人は何をするんだろうと。それが1週間経って、この人大丈夫そうやなっていうところで少しだけ笑顔が、引きつる笑顔よりも柔和な笑顔になってきたなという感覚はあります」
食卓を囲んだなかに重要な支援者がもう一人いた。沖縄県の行政書士である浦崎暁氏だ。今回、京極町のミャンマー人の特定技能労働者の問題が明らかになるきっかけは、日ごろから特定技能外国人のサポートをしている浦崎氏に入った連絡だった。
7月16日、浦崎氏は沖縄県に暮らすミャンマーコミュニティの友人から、SNSを通じて「北海道に在住するミャンマー人労働者を助けてほしい」と支援要請を受けた。東京の通訳ユーさんや京極町にいるミャンマー人とSNSでグループをつくり、情報共有を進め、被害の状況を把握。一刻も早く保護しなければならないと判断し、外国人労働者の人権問題に取り組む札幌地域労組が救出に動いたのだった。
浦崎暁氏
「外国人の方々って沖縄から北海道までいろんなところに住んでいますよね。全国的にいろんな方々と繋がって外国人を支援する一つのスタイルだと思いました」
浦崎氏は「外国人の問題じゃなくて日本社会の問題ですので、私たち日本人がきちんと受け止めないといけない」としつつ、国の責任も強調した。
「国は外国人に対する制度の厳格化を進めています。在留資格の変更に対する手数料を上げ永住権の要件を厳しくする。そういうことをしてしまうと、結局、人手不足を、日本の社会で抱えているのになかなか外国人が入ってこない。もう一つは、厳格化するのであれば、こういう問題がある雇用主を厳しくしていくべきだと思います」














