岸田総理はきのう、新型コロナウイルスの“感染症法上の位置づけ”を「2類」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方向で検討することを表明しました。一方、治療薬として期待される「ゾコーバ」は、緊急承認されて2か月となりましたが、患者へ処方された数は、この1か月半でおよそ1万2000人分にとどまっています。なぜ薬が広がらないのか、その背景を探りました。
新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」。「抗ウイルス効果」があるとされ、“重症化リスクのない軽症の患者”にも使える初めての薬となりました。
のどの痛みや咳、発熱などの5つの症状を24時間ほど早く改善させる効果が臨床試験で示され、昨年11月「緊急承認」。国産初の治療薬として期待も寄せられていました。
上村彩子キャスター
「『パキロビッド』『ラゲブリオ』などの薬もあるが、その2つと比べてどんな特性があるのか?」
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「(重症化予防効果といった)薬の有用性のデータの質の高さから考えると、やはりパキロビッド(とラゲブリオ)という薬、重症化の確率を下げることがわかっている。『ゾコーバ』はそこがわかっていない。現時点で(重症化リスクのある患者に)確実に証拠のある治療薬を処方したいので、『パキロビッド』や『ラゲブリオ』を優先的に出すということになってしまう」
日本で3つ目の承認となった「ゾコーバ」は、重症化予防効果が確認されていないのです。
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「(今後、季節性インフルと同等な)5類相当で、場合によって薬代が一部患者さんの負担ということになると、(重症化予防効果が確認されていない)今のデータでは患者さん側のメリットは少ないのではないか」
さらに、薬の飲み合わせで、“36種類もの薬と一緒に飲んではいけない”という大きな制約がある上に、妊婦や妊娠する可能性がある人には使えないという点もあり、医療現場ではより慎重になっているとみられています。
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「薬剤師さんがしっかりと薬の飲み合わせをチェックする“二重チェック”の仕組みが重要。薬が出たのはいいけど、十分な指導・注意をしなければ性交渉が行われる可能性もある。そうするとリスクもでてくるので、(外来での)処方に際してはしっかりとした情報提供が必要になる」
政府はこれまでに塩野義製薬から「ゾコーバ」を200万人分購入していますが、今月上旬までの1か月半で患者に処方されたのは1万2000人ほど(1万1867人)にとどまっているのです。
一方、岡教授は、「ゾコーバ」の今後の研究の行方にも注目しています。
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「今(『ゾコーバ』の)処方対象になるような人たちは、その薬を飲まなくても(症状が)重くならない。コロナにかかった後(ほとんどの患者が)自然に治りますが、(一部で)後遺症が問題になっています」
最新の研究によると、抗ウイルス薬「パキロビッド」を服用すると、コロナによる後遺症のリスクをおよそ2割減らすことができたということです。「ゾコーバ」は、その「パキロビッド」と同じ作用機序を持つ「抗ウイルス薬」なのです。
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「後遺症を減らすという効果が(『ゾコーバ』にも)あると、私たち医師としては、その薬を患者さんにお勧めするという状況が生まれてくるのではないか」
現状ではまだ、重症化リスクの少ない患者に処方できる“特効薬”は存在していません。
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「(コロナに)かかったら『ゾコーバ』飲んだら安心だよというほどの立ち位置ではない」
上村彩子キャスター
「国民にできることは、医療現場を逼迫させないためにも本当にワクチンを打つこと、(症状があれば休むなど)基本的な対策を続けることですか?」
埼玉医科大学 総合医療センター感染症科 岡秀昭教授
「そんなに簡単に入手して飲める薬ではないので、やはり罹らないことが一番。罹らないために何をすべきかです」
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