手触りだけで余分なスゲ間引く緻密な職人技

この道20年の笠縫い職人、橋本レイ子さん(78)。

この町に生まれ、伝統の技とともに人生を歩んできました。

笠縫い職人 橋本レイ子さん
「裁縫とはまた違うわね」

笠縫に用いるのは、専用の長い針で、何本かのスゲをまとめて刺し、針を押し込むようにして縫い進める。

頂点へ向かうほどスゲは密集し、歪みが出やすくなります。

厚みを均一にするため、手触りだけで余分なスゲを間引いていく、緻密な職人技が求められます。

笠縫い職人 橋本レイ子さん
「(菅笠作りは)母親のを手伝いというか見ながら覚えたので。生まれも、死ぬまでここ」

福岡の町で栄えたスゲの産業。

その命を育んだのは、小矢部川の氾濫でした。

水害が残した沼地は、やがてスゲを育む絶好の環境となり町の一大産業へと発展していきました。

笠縫い職人 橋本レイ子さん
「笠縫職人は(昔は)たくさんおいでたけど、いまは(この地区には)だれもおいでない」

消えゆく伝統への強い危機感。

それと同時に湧き上がってきたのは、この町の誇りを守りたいという実直な決意でした。

笠縫い職人 橋本レイ子さん
「若い人たちであんまり(笠縫を)している人、おいでんやろ。だもんで、こんな昔からの(伝統を)絶やしたくないと思って。90(歳)ほどまでできるかな、やれるだけ、やりたいなと思ってます」

通気性が良く、水にも強い確かな品質は、かつて農作業の日除けや雨除けとして重宝されていました。

しかし、時代の移り変わりとともに、職人の数は静かに減り続けています。