7年ぶりの猟銃返還。拭いきれない行政への不信

北海道砂川市のハンター 池上治男さん(77)
北海道砂川市のハンター 池上治男さん(77)

「長い7年間だったよね。当然の謝罪の言葉だと思う」

4月9日、最高裁判決からおよそ2週間後。池上治男さんのもとに、北海道警察本部生活安全部保安課の担当者が訪れました。最高裁判決を受けた北海道公安委員会からの謝罪と、取り上げられていた猟銃を返還するためです。

池上さんに頭を下げる北海道警察の担当者
池上さんに頭を下げる北海道警察の担当者

担当者は「公安委員会として最高裁判決を重く受け止めている。池上様にご不便・ご負担おかけし申し訳ございませんでした」と頭を下げました。

しかしそれは、池上さんの憤りを鎮めるものではありませんでした。「公安委が直接来るのが当たり前、本当の意味で公安委員会が反省しているとは思えない」

7年という途方もない時間を奪われ、不当な汚名を着せられたことに対する謝罪としては、あまりにも事務的で軽いものに感じられたのです。さらに、謝罪の後、池上さんを激怒させる衝撃の事実が発覚します。

「私を騙していた」発覚した猟銃“廃棄”の真実

返還されたライフル銃は、押収されていた2丁のうちの1丁にすぎませんでした。2018年の事件当時、池上さんが実際に発砲に使用していたもう1丁のライフル銃は、証拠品として検察に送られた後、すでに廃棄されていたのです。

更新された池上治男さんの猟銃所持許可証(廃棄された銃の欄は空欄)
更新された池上さんの猟銃所持許可証 廃棄された銃の欄は空欄になっている

廃棄されたその銃は、亡くなった友人から託された、大切な思い出が詰まった銃でした。「まさか途中で当該銃がなくなる、しかも廃棄というのはあまりにひどすぎる」「謝罪に来たのだったらその時に言うべき義務があった」と、池上さんは激しい怒りを露わにしました。

札幌地方検察庁の建物外観
札幌地検

5月、札幌地検は代理人の中村弁護士に対し、「猟銃の所有権放棄書に基づき、捜査が終わった段階(2019年3月の不起訴後)で、適切な事務規定に従って処分した」と説明しました。

中村弁護士は、「警察や検察の論理では手続き上のミスはないということだと思うが、処分自体の正当性を争う裁判が続いている最中に、原告の重要な財産であり証拠でもある銃を一方的に廃棄する行為は、あまりにも配慮に欠ける」と、検察の対応を強く批判。

「私を騙していたようなもの。何のために戦ってきた7年間だったのかと思う」と、池上さんは大きく落胆しました。