特集は復興の現在地です。被災地、南三陸町の高校は、地域の活性化につなげようと全国から生徒を受け入れています。県外からやってきた生徒は、町で何を学び何を感じとっているのか。東京出身の1年生を追いました。岩槻記者の報告です。
南三陸高校はこの春、39人の新入生を迎え新年度がスタートしました。新入生を代表して挨拶したのは、炭屋拓生(すみや・たくみ)さん(15)です。
炭屋拓生さん:「宣誓ただいま入学を許可されました私たち39名は、生徒としての本分に反しないよう学業に精励することを誓います」

東京から来た炭屋さんは、南三陸高校の「kizuna(きずな)留学生」です。
全国から生徒を受け入れる国内留学制度で人口減少が続く南三陸町が4年前から募集を始めました。今年度は炭屋さんを含む9人が県外から入学しました。
炭屋拓生さん:「ちょっとさみしいけど夏休みとかすぐ会えるし不安はない」

父・炭屋昭一郎さん:「不安は普通にいっぱいあるが何とかなるのかなとそれも含めて応援できれば」
友達や知り合いが一人もいない環境に緊張しましたが不安はなく、学校生活が始まるとすぐにみんなと打ち解けました。
部活は商業部。この日、パソコンでつくっていたのはポップです。地元の夏祭りで屋台を出すための準備作業です。オリジナルドリンクも販売します。

「2層のやつ作ろうとしてがっつり混ざった」「あれじゃない温度変えないといけないとか」「できた!」
kizuna留学生の生徒たちは、学校近くの寮で生活しています。新しい環境で学びたい、まちづくりを学びたい、など応募した理由はみんな様々。寮では、自立や社会性を学んでいます。

平松清空(きよら)さん:「家族じゃないので何を言っちゃいけないとか常に気を配らないといけないのが大変だけど新鮮で面白い」
炭屋さん、地元の伝統舞踊にも挑戦していました。「本浜七福神舞」は、担い手不足で一度途絶えましたが10年前に復活しました。炭屋さんたちは地域にとっても頼もしい存在です。

南三陸五社之氏子青年会・佐藤太一会長:「若い世代に引き継ぐというのが第一目標でそれが実現できることを本当に嬉しく思っている」
炭屋さんは、地方での学びに興味がありkizuna留学生に応募しました。南三陸町が震災の被災地であることはもちろん知っていましたが決して強い関心があるというわけではありませんでした。それでも、この3か月で、少しずつ気持ちに変化が芽生えていました。

炭屋拓生さん:「この町の人たちにとっては目を逸らしちゃいけないこと。この町で3年間暮らす身としては避けたいと思っていても避けてはいけないこと」
「先生から夏休みの宿題です。友達に語れる思い出を作るということで」
夏休み前の全校集会。入学からの3か月余りはあっという間に過ぎました。東京の実家にも久しぶりに帰る予定です。

そして、夏休みの初日には大きなイベントが控えていました。
「志津川湾夏まつり」。練習してきた「本浜七福神舞」の本番です。

炭屋拓生さん:「雨だからいつもと違って滑ると思う。神様として堂々と最後まで踊り切れればいい」
現在、南三陸高校の希望する生徒たちが中心となって伝統舞踊を受け継いでいます。多くの観客の前で伝統を背負って舞いました。

観客:「1回なくなりそうになったあと若い子たちが残すためにやっているのが面白い」
炭屋拓生さん:「南三陸町の町の方がものすごく温かい拍手をしてくれて伝統を町で繋いできたことが伝わる感じがした」
踊りを終えた後は、休む間もなく屋台の運営です。地域との交流は、東京の高校に進んでいたら体験できていなかったかもしれません。

炭屋拓生さん:「自分がいいなと感じていたのは(南三陸町の)人との関わりが多くて楽しそうな雰囲気だったんだなと。人口は何倍も地元(東京)の方が多いんですけど祭りの人数はむしろこっちの方が多いんじゃないかと思うくらいたくさん来てくれるので疲れるんですけどその分やりがいに変わっているそれはいいかな」

「せーの乾杯!」

高校生活はまだ始まったばかり。地域に見守られ、自由にチャレンジできる環境で成長を続けています。














