──なぜ北へ?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「春が過ぎ、夏を迎え、そして秋が近づくと、北へ北へと向かっていたウスバキトンボたちにも、冬の訪れが近づきます。
日本の北の地域まで進んだ群れは、寒さに耐えられず、冬を越すことができません。
こうして見ると、ウスバキトンボは、二度と戻れない道を北へ向かうだけの片道切符を握りしめているようにも見えます。
専門的には、こうした移動は『無効分散』や『死滅回遊』と呼ばれます。北へ進んだ個体群がその土地で越冬できず、そこで途絶えてしまうためです。
私たちから見ると、そこまでして北へ行かなくても、と思ってしまうかもしれません。でも、ウスバキトンボは決して死ぬために旅をしているわけではありません」














