世界中に色がついたような感じ

堀内:
書かれることはずっと楽しくて?

朝倉かすみさん:
本当に世界中に色がついたような感じでしたね、書いた時から。

堀内:
最初に書いた時から。それまでは世界にあまり色がついていなかった?

朝倉かすみさん:
なかったですね。すごく生き生きと回りはじめた感じがしました。本当に忘れられないです。朝起きた時から全然違ってましたね。

堀内:
書くにあたって、ご自身の中で大切にされていることはありますか?

朝倉かすみさん:
新人賞をもらう前までは、「自分は大した者にはなれないだろうけど、書くことがすごく好きだから、私が書いたものを読んで何かすごい才能が出てくればいいな」という夢を持っていて、それは今でも持っています。
ただ、プロとしてやっていくためには、新人賞の時の選考委員の方に「インパクトのある小説って何ですか?」と聞いた時に「自分にしか書けない小説を書くことだよ」と言われたこと。最初の担当編集者さんに「出し惜しみしちゃいけませんよ」と言われたこと。
その時の編集長に「全力でやれ、保険はかけるな、思いっきりいくんだ」と言われたこと。この3つはずっと守ろうと思っています。

堀内:
今回の『けんぐゎい』でもそれを大事にされて?

朝倉かすみさん:
そうです、はい。