ヨーロッパ各地を襲っている熱波と山火事。背景にあるのは急速に進む気候変動です。その対策を一層困難なものとしてるのが、戦争がもたらす見えない犯罪です。

止まらぬ温暖化に「見えない排出」

巨大な壁と化した炎に、懸命に放水を続ける消防隊員。しかし、炎の勢いは衰えません。

フランス南西部で、発生した山火事。火はワイン産地として知られるボルドーに迫るなど拡大。消失面積はすでに東京都の半分(約11万ヘクタール)、避難住民は22万人以上に達します。

近隣住民
「本当に怖い。(山火事で)全てを失ってしまうんですから」

大規模な山火事は、隣国スペインでも猛威を振るい、首都マドリード近郊でも複数発生。背景にあるのが、6月以降、ヨーロッパを襲った記録的熱波。各地で極度に乾燥した状態が続いていました。

40°C超えが続くパリでは、エアコンを買い求める客が殺到。殴り合いも起きる事態に。

SNSの映像
「ケンカしてる、マジかよ」

猛暑に関連する死者は、ヨーロッパ全域で6月下旬からの1週間だけで、2万人以上に及ぶと見られています。この事態に、フランスのマクロン大統領は...

フランス マクロン大統領(7月27日)
「私たちは前例のない規模の火災に直面している。第2次大戦以降で最も厳しい状況だ」

こうした状況をもたらしたのが、急速に進む温暖化。しかし、その対策としてパリ協定で定められた、世界の気温上昇を1.5度までに抑えるという目標が、いま絶望的状況にあります。

温暖化をもたらす温室効果ガスの削減は、一筋縄ではいきません。専門家は、その一因として「見えない排出」があると指摘します。

京都大学名誉教授 地球環境戦略研究機関 松下和夫シニアフェロー
「現状では各国は国連に対して、軍事活動による排出量を報告する義務がない。アメリカなどが強く反対し、軍事機密であるから報告しなくてよいということで、ほとんどの国で報告していない。莫大な量の温室効果ガスが出てると思うが、データの上では“見えない排出”になっている」