8月と9月の食品などの値上げは2か月連続で2000品目を超えます。中東情勢が悪化した影響に、歴史的な水準の円安も追い打ちとなっています。この物価高はいつまで続くのでしょうか。
■値上げ品目最多に 原因は「中東情勢・歴史的な円安」
山内あゆキャスター:
31日に発表された帝国データバンクの調査によると、▼8月は2311品目、▼9月も4531品目が値上げする見通しです。2026年に入ってから最も多くの品目が値上げとなり、このままだと年間2万品目ペースです。
値上げの原因は大きく2つあります。
▼1つ目は中東情勢です。
燃料費や、包装資材などの原材料の価格上昇が影響しています。ニチレイフーズでは、家庭用の食品などほぼ全品で約5%~20%の値上げとなるということです。
▼2つ目は歴史的な円安です。
輸入原材料の調達価格が上昇していて、はごろもフーズでは、家庭用のシーチキンなど計80品目が6.7%~25%の値上げとなります。
円安は、どのくらいの水準で上がってきているのでしょうか。
TBS報道局経済部デスク 片山薫 記者:
2025年7月の円相場は、1ドル140円台でした。それがこの1年で1ドル160円台まで来ており、2026年7月23日は163.99円でした。
先日、「164円台に迫る」というニュースもお伝えしましたが、この1年で一気に円安になってしまいました。その部分が物価に響いていることが改めてわかります。
■「酷暑日の焼け石に水」状態か “サプライズ為替介入”の背景とは?
山内キャスター:
そして31日、「為替介入」という大きなニュースがありました。30日夜、円安をめぐり、政府・日銀が為替介入を行ったのです。
ドルを売って円を買うということを行った結果、30日午後8時半ごろには1ドル163円台だったものが、午後11時半ごろには1ドル157.966円にまで進みました。
しかし、また円安傾向になっているんですよね。
TBS報道局経済部デスク 片山薫 記者:
31日16時33分時点で、為替は1ドル160円台50銭台と、為替介入した半分ほどが戻ってきてしまっている状態です。
南波雅俊キャスター:
このタイミングでの為替介入には、どのような背景があると考えていますか?
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
“サプライズ為替介入”からの動きをみると、早速これだけ円安方向に戻ってしまったので、ただの焼け石に水ではなく「酷暑日の焼け石に水」みたいな感じですね。
30日、高市総理が「食品の消費税を1%に引き下げる」と発表しましたが、実質的に財源はほとんど示さないままでした。
この発表から「これまで以上に財政拡張路線に走っていくのだな」ということをマーケットが感じ取り、より円安に振れてしまうことを懸念したのでしょう。それに先手を打つ形でのサプライズ介入だったのですが、結局それは長続きしません。「酷暑日の焼け石に水」状態にまた戻ってしまうと思います。
南波キャスター:
2年間で約10兆円の規模ということで、多くの財源が必要となりますね。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
30日の発表では▼補助金のカットや、▼租税特別措置の見直しなど、これまでもほとんど実効性がなかった財源しか口にしていませんでした。
2022年にイギリスでも“トラスショック”というものがありましたが、財源を示さないまま政治家が財政拡張に走ることを、マーケットはとても嫌うわけです。それをやってしまったということだと思います。
■物価高に加え“リスク”も 政府・日銀ができることは…?
山内キャスター:
ただ、円安が止まらないと物価高が止まらないということは確実ですよね。
TBS報道局経済部デスク 片山薫 記者:
この円安は中東情勢や原油の影響もあるので、なかなか止まりにくいです。そのなかでさらに円安が進むと、物価高が続いてしまう可能性があります。
山内キャスター:
物価を下げるために、日銀・政府が何かできることはあるのでしょうか。
TBS報道局経済部デスク 片山薫 記者:
下げるのは難しく、上がりにくくするのが限界ではないかと思います。
為替の影響も含めて日銀にできることがあるとすれば、金利を引き上げていくことです。
金融政策決定会合のあと、日銀の植田総裁は会見で「金融緩和度合いの必要な調整が遅れると(物価が上振れする)物価の上振れリスクは顕在化する」と話していました。
「ある程度のペースでやっていかなければいけない」というメッセージは送りましたが、実際、為替はそれほど動いていません。「物価高を止められるのか」という不安はあるかもしれません。
山内キャスター:
この不安が膨らむと、さらにマーケットは変わっていくのでしょうか。
TBS報道局経済部デスク 片山薫 記者:
「円が弱いな」というのを見透かされると、円売りに持っていく“投機筋”と呼ばれる人たちの仕掛けにあう可能性があるので、現在もリスクが高い状況にあると思います。
南波キャスター:
これだけ物価がすでに上がっているなかで、さらにリスクもあると、生活していくうえで苦しい状況ですね。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
多くの品目の値上げが8月からあるわけですが、今回は割と値上げ率が高いです。20%~25%、ものによっては30%を超える値上げがあります。これまでは小刻みに数%の値上げが続いてきていましたが、今回の値上げは、生活により一層響いてくると思います。
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<プロフィール>
片山薫
TBS報道局経済部デスク 経済官庁を取材
円安で日々 給料が目減りしていると感じている
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BSーTBS「報道1930」ニュース解説
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