個性豊かな部員が集まるeスポーツ部。学校生活になじめなかった1人の生徒がeスポーツとの出会いでたくましく成長しました。コンピュータゲームをスポーツとして競うeスポーツ。新川高校では今、「eスポーツ」部が野球部などをおさえて学校で最大の部活動になっています。今年3月に卒業を控えた生徒の3年間の物語です。

静かな熱気に包まれる富山・新川高校eスポーツ部。この日、「eスポーツの甲子園」とも呼ばれる全国大会に臨んでいました。
生徒:
「ぺペロン犠牲にして~」「やかんなべさん」
ゲームの世界で、生徒たちはハンドルネームで呼び合います。

3年やかんなべ:
「頭の中にやかんって浮かんできて、なべ付ければいいやと思ってつけたらそのまま通っちゃった。楽しいですね、チームと一緒にやっていけてる感があるので」
2年にら:
「野菜のにらが好きなんです」「相手の動きを読んで戦う心理戦みたいな」
2年ひすい:
「わたしは可愛いキャラで決めました」
そして、耐久力で仲間を守る1年生の「ぺペロンヌ」。
種目はeスポーツで代表的な「リーグオブレジェンド」。5人1組で相手陣地に攻め込み、「タワー」を取り合います。

このチームを指揮する「司令塔」が、3年生で部長の亀田和歩(かめだ・かずほ)さんですが…
亀田和歩部長:
「まだ(熱)あります」
この日は発熱のため、自宅から参加です。

亀田部長:
「いきましょうー」
チームは見事な連携で過去最高の成績をおさめました。
亀田部長:
「スポーツのサッカーとか甲子園でみんなでチームとかで楽しむのもいいけど、ゲームが好きだって人たちがeスポーツ部に入ることで、自分の好きなことでお互いに成長し合えるのがいいのかなと思う」

部長の亀田さんの自宅です。幼いころからゲームが好きで、特に中学生時代はカードゲームに熱中。
亀田部長「これはデュエルマスターズで、これはマジックザギャザリング」
毎週末カードショップに通って大人と勝負を楽しんできました。しかし、ある問題にぶつかります。
亀田部長
「カードーゲームが同年代の人が全くやっていなくて、学校に行くと同年代の人とかの話がちょっとあまりわからなくなって」
同級生と話が合わず、ふさぎこみがちに。
亀田部長
「思春期、そういう時期ですから、女子同士とかで(悪口などを)やりあってるのとかも見るだけでちょっと心がちょっとあってなったり気にしなくていいところまで気にしちゃうたちで」
中学2年生から教室に通えず、保健室に登校するようになりました。
そんななか、たまたま参加したオープンハイスクールで出会ったのが新川高校eスポーツ部でした。自由な雰囲気に衝撃を受け、即、入部を決意。

亀田部長:
「共通の趣味とか自分の好きなものが一緒だったらやっぱり会話も弾んだり仲良くなれる。ゲームが好きとか趣味が同じという人が集まっているから本当にうちとけあったりできると思います」
亀田さんはeスポーツを通じて同世代の仲間を得て、自分たちで部室を作り、スポンサー企業の協力で本格的な環境を整えるまでに。
当時2年の亀田さん:
「こういう大きなしっかりした部室があればeスポーツ部って胸張って言えるので、部員が増えれば活性化するので」

現在は部員60人近くと学校一の大所帯です。

亀田部長:
「ぼろ負けですね」「めっちゃ強い人たちです。これクラーク(高校)ですね」
全国トップレベルの高校生たちと毎晩のように対戦し練習を重ねてきた亀田さん。最後の大会への思いは勝ち負けだけではありません。

亀田部長:
「あのときよりは少し自分なりに成長して意見をぶつけあったり考えたりすることができるようになったと思う。これから後輩とかeスポーツ部入ってくる人にもそんな感じになってほしい」

亀田さんにとって最後の大会、「全国高校生eスポーツ選手権」です。しかし・・・
ニラ:
「動かしにくいので、できない感じですかね・・」
なんと2年生の有力選手が骨折。代わりに初心者の1年生がマウスを握ることに。
新川高校、大ピンチ。緊張のなか、戦いが始まります。
部員たち:
「いくぞー」
「やったやった、ファーストブラッド」
「キュー出る?ナイスーそれそれ、ハヤト来たねー最高」
1年生のハヤトさんが活躍し、優勢に進みますが…
亀田部長
「いま一番危ないから」
小さなミスが重なり、
徐々に押され始めます。
佐々木さん:
「やばくね?普通にミスったエンド?」
形勢を立て直せず…
(負け画面)最後の大会は予選敗退に終わりました。

亀田部長:
「みんながひとつにつながる場所みたいな、合流点みたいな感じで。みんなが交わって訓練したり、笑ったり負けたり勝ったりするのが僕にとってeスポーツ部かなと思います」
亀田部長:
「LOL以外にも多分生きることあるので、この5人の大会。学校や大学、会社で就職したり、めっちゃ生きると思うので、いつか思い出してくださいみんな。ブラボーブラボー」
亀田さんは卒業後、eスポーツを推進する埼玉工業大学に進学します。そこで心理学を学び、叶えたい夢が…

亀田部長:
「学校で僕みたいに心が繊細すぎる人を手助けしたり、ちょっとでも心を楽に出来る、背中を押してあげられるようなカウンセラーになって、1人でも助けてあげたい」
「好きなことで成長できる」、eスポーツ部での経験が未来を拓きます。















