司法が下した判断は、二審も無罪でした。
原発事故をめぐって、東京電力の旧経営陣3人が強制起訴された裁判の控訴審で、東京高裁は、控訴を棄却し、一審と同じ無罪判決を言い渡しました。

午後2時すぎの東京高裁前。

原告団「判決が出ました。全員無罪の不当判決が出されました。もう怒りに耐えられません」



司法は、東京電力の旧経営陣3人に再び無罪の判断を下しました。

この裁判は、東電の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長と武藤栄元副社長の旧経営陣3人が原発事故による避難で、大熊町の双葉病院の患者44人を死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されたものです。



裁判の争点は、大津波を予見することができたか。
そして、対策をとっていれば事故は防げたのか。

一審で東京地裁は、国の地震長期評価について「信頼性に限界がある」などとして、旧経営陣3人に無罪判決を言い渡しました。

その後の控訴審で、検察官役の指定弁護士は、裁判官による現地検証や新たな証人の出廷を求めましたが、証拠は採用されず、控訴審は3回の公判で結審。

そして迎えた、注目の控訴審判決。

判決を前に、裁判所前には原告団の関係者が集まり、一審の判決を取り消し、旧経営陣の有罪判決を求めました。

福島原発告訴団団長・武藤類子さん「裁判所は安全を無視し、事故を引き起こした者にその責任を自覚させ、反省しなければならない。公正な判決を下すことを心から願う」

判決で東京高裁の細田啓介裁判長は、「1審の判決には不合理なところがなく相当と認められる」と指摘。

争点となっていた地震の長期評価については、「10メートルを超える津波の現実的な可能性を認識させる情報であったとは認められない」と結論付け、旧経営陣3人に1審と同じ無罪判決を言い渡しました。

福島原発告訴団・武藤類子団長「亡くなった患者のご遺族も数多くの原発事故の被害者もまたまた納得できない判決だと思う。最高裁に上告してほしいと心から思う」

一方、東京電力は、「訴訟についてコメントは差し控える」と発表しました。