母が遺した2つの宝物。「バッティンググローブ」と「一冊のノート」
仲間に支えられ、再び前を向いて白球を追いかけ始めた隼誠選手。その手元には、母が遺してくれた大切な2つの宝物がありました。

1つは、亡くなる1か月前に母が最後にくれた、名前入りのバッティンググローブです。

前田隼誠選手 「高校1年生のときに母が亡くなったんですけど、その1か月前に、母がこのバッティンググローブを買ってくれたんです。そのとき『名前を書いてあげようか?』って言ってくれて、書いてもらったものです。 本当にもらった時はうれしかったです。母親として尊敬していますし、本当に大好きだったんで」

母の想いを宿したグローブの力は絶大でした。高岡の中野雅之監督も、彼の背中を強く押し続けました。

中野雅之監督「今年の春季大会では、チームで唯一の3安打を放ちました。チームは秋も春もタイブレークで敗れたので、実はまだ、あのバッティンググローブをつけて勝利したことがないんです。だからこそ、この夏は、お母さんから授かったバッティンググローブをつけて大暴れし、勝利してほしい。」

そして、自宅にはもう一つの宝物。自分が旅立ったあとの家族のために、涼子さんが遺した「ノート」です。

前田隼誠選手 「洗濯とか、僕苦手なので、一番最初に書いてあります(笑)」

家族の健康、勉強、そして未来へのアドバイス。ページをめくると、不器用な愛息子へ宛てた、メッセージが綴られていました。

母・涼子さんから隼誠さんへのメッセージ
『しゅんが、これから先、力強く人生を歩めるよう、ママはちゃんと空から見守っているので心細くなることはないよ』

『しゅんの周りにはちゃんと、しゅんを支えてくれる人がたくさんいるから。不安な時は、空を見て笑ってごらん。必ずママがいるから。大丈夫だよ!』

『しゅん。どんな向かい風にも負けない強い子になって下さい。応戦してるよ。愛してるよ。ありがとう。』

前田隼誠選手 「空から見て力をもらっている気がしますし、やっぱりずっと見守ってくれていると思う。それを今もずっと信じて、野球や試合を頑張っています」

さらに、ノートの最後には、お母さんからのこんなにも愛らしい“お願い”が残されていました。
母・涼子さんから隼誠選手へのメッセージ 『毎年、ママの誕生日とクリスマスに、ママに手紙を書いてほしいんだ。ママは きっとお空に行っても変わらず 心配性で 世話焼き好きのママだと思うから、しゅんのいろんなこと 知らせてほしいの。ママ、しゅんの近況報告 楽しみにしているからね♡』

「お空に行っても、心配性で世話焼き好きのママ」 のために、前田家では今でも、毎年手紙を書いて届けるのが大切な家族の約束になっています。

空の上の母へ、最高の近況報告を届けるために。隼誠選手は、母の写真に静かに手を合わせ、夏の決戦の舞台へと向かいました。















