「頭がいいね」と「よく頑張ったね」では結果が変わった

栁先生は、ほめ方が子どもに与える影響について、1998年に発表された有名な心理学の研究を紹介しました。

この研究では、子どもたちを2つのグループに分け、一方は「頭がいいね!」と能力を、もう一方は「よく頑張ったね!」と努力をほめました。

すると、「頭がいいね」とほめられた子どもたちは、次に「簡単で点数が取りやすい問題」を選ぶ傾向が強く見られました。一方、「よく頑張ったね」と努力を認められた子どもたちは、「少し難しいけれど勉強になる問題」に積極的に挑戦しようという姿勢が見られたのです。

さらに、難しい問題で失敗したあとも、努力をほめられた子どもたちは粘り強く取り組み、最後にもう一度簡単な問題を解く場面でも良い成績が出ました。一方で、「頭がいいね、天才」などと能力をほめられた子どもたちは、難問で失敗を経験したあとに同レベルの簡単な問題を解くと、かえって成績がさらに落ちてしまうという対照的な結果が示されました。

なぜ「頭がいいね」が逆効果になるのか

栁先生は、能力をほめることがもたらす弊害について、次のように解説します。

「能力をほめられてしまうと、良い成績を取ってほめられることがメインになってしまう」

「頭がいい」を思われ続けたい。そうするとほめてもらえる――子どもがそう考えるようになると、失敗を避けるようになったり、自分をよく見せようとしたりする行動に繋がってしまいます。研究では、能力をほめられた子どもたちが、次の試験で自分の点数を実際よりも高く申告する傾向も見られたといいます。