インテルの強みと競合他社との激しいシェア争い
野村:インテルは、これからの時代に必要なCPUを十分に供給できる立場にあるのでしょうか。
岡:インテルは長年CPUの王者として君臨しており、データセンター向けCPUでは現在も約6割という高い市場シェアを持っています。かつては7~8割を占めていた時期もあり、CPUが必要とされる場面では、必然的にインテルの名前が真っ先に挙がります。
野村:盤石な体制に見えますが、競合の動きはどうですか。
岡:非常に激しいです。ライバルのAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は近年シェアを20%程度まで伸ばしており、インテルの牙城を崩しつつあります。また、英国のARM(アーム)も、設計ライセンスの提供だけでなく自社での製造参入を視野に入れています。さらにNVIDIAまでもが、重要性を見てCPUの単体販売を開始しており、まさに市場は激戦区となっています。
野村:市場は期待で盛り上がっていますが、実際の需要比率はどう変化しているのでしょうか。
岡:これまではAIデータセンターにおけるCPUとGPUの比率は、金額ベースで1対8程度と言われていました。しかし、現在は1対4程度まで近づいており、将来的には1対1、あるいはそれ以上にCPUの比率が高まると予測されています。この市場成長のスピード感に、投資家たちが色めき立っているのです。
数字に現れ始めた復活の兆しと「意外な需要」
野村:期待が先行しているとのことですが、業績への反映はこれからでしょうか。
岡:インテルの業績を見ると、過去2~3年のAIブームには完全に取り残されていました。NVIDIAのデータセンター向け売上が数倍に跳ね上がっていた2023年、インテルの同部門の成長率はわずか5%にとどまっていました。
野村:それはかなり厳しい数字ですね。
岡:ところが、直近の2026年第1四半期では、AI・データセンター向け売上が22%増加しました。ようやく本格的な伸びが数字として現れ始めた状況です。
野村:5%から20%超への変化は劇的ですね。
岡:ただし、インテル独自の圧倒的な強みかというと、冷静に見る必要があります。面白いエピソードとして、インテルのCFO(最高財務責任者)が「売れないと思っていた旧世代の在庫も、顧客と協力して使い道を見つけた」と語っていました。つまり、最新スペックでなくとも、供給が追いつかないほど市場全体でCPUが不足している状況なのです。
野村:なるほど。インテルの技術が突出しているというより、波が来ているということですね。
岡:そうです。今後、AMDやARM、NVIDIAがさらに優れたCPUを投入してきた際に、インテルがこの「第2の波」を維持できるかが正念場となります。スマートフォンやAIの第1波を逃したインテルにとって、ここは負けられない戦いです。














