唯一無二の武器「自社ファブ」と地政学的リスク

野村:インテルが競合に対して持っている、他にはない強みは何でしょうか。

岡:最大の強みは「自社ファブ(製造工場)」を持っている点です。現在、最先端の半導体製造は台湾のTSMCが世界をリードしていますが、多くのグローバル企業が「TSMC一極集中」に不安を感じています。地政学的なリスクがある中で、米国内に製造拠点を持ち、自社で生産を完結できるインテルの体制は、経営が厳しくとも大きな差別化要因になります。

野村:自国で完結できるというのは、大きな安心材料ですね。

岡:この「製造機能」をどう活かせるかが、インテル復活の真の鍵となるでしょう。

野村:AIインフラへの投資は、CPU以外にも広がっているのでしょうか。

岡:もちろんです。要因のひとつは、好調なのがGPUだけに留まらなくなったことです。これまではGPUが最大のボトルネックでしたが、現在はCPU、そして「メモリ」など、AIインフラを構成するあらゆる要素が必要とされています。

野村:メモリ業界も活気づいているのですか。

岡:非常に好調です。サムスン電子、SK hynix Inc.、Micron Technology Inc.の「メモリ御三家」に加え、日本のキオクシアホールディングスも時価総額でトップクラスに食い込むほど株価が上昇しています。

野村:キオクシアホールディングスまで。かつての勢いを失ったといわれていた老舗メーカーまでが、軒並み復活しているのですね。

岡:計算需要が増えれば増えるほど、メモリ、CPU、ネットワーク機器と、次々に新たなボトルネックが顕在化します。その都度、関連各社の業績と株価が押し上げられている、というのが現在の市場の構図です。

半導体スーパーサイクルと今後の展望

野村:AIの需要はまだ続くと見ていいのでしょうか。「半導体バブルではないか」という声もありますが。

岡:AIの計算需要が衰える気配はないため、インフラ投資は今後も続くと思われます。通常、半導体業界は4年周期で好不況を繰り返しますが、現在は「スーパーサイクル」と呼ばれ、2027~28年頃までこの需要が続くと見られています。

ただし、電力不足やデータセンター用の土地確保といった物理的な制約も出てくるでしょう。しかし、需給が逼迫する状況は当面継続すると考えられます。

野村:地政学的リスクがある中でも、半導体銘柄の勢いは際立っていますね。ビジネスの進展とともにボトルネックが各所に波及し、インテルのような企業が再評価されるのは非常に興味深いですね。

<聞き手・野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。