下関市出身で東京オリンピック男子400mハードル代表、黒川和樹選手。
21歳らしい、自然体の天真爛漫さが魅力の黒川選手ですが、走りには、誰よりも真剣に向き合っています。そんな黒川選手の素顔に迫りました。

法政大学3年 黒川和樹選手
「2023年、始まったばっかなんですけど、なんかもう楽しいんですよね2023年。2022年よりはいい年になりそうな気がしてはいます」

「いい年になりそう。」
新年早々、屈託のない笑顔で答えてくれたのは陸上400mハードル東京オリンピック日本代表の黒川和樹選手。

「なんか分かんないんですけど、なんかウキウキしてますね。(なにか要因があるんですかね?)いやあー分かんないですねー」

この自然体が黒川選手の魅力のひとつ。
なぜかは分かりませんが、きっといい年になります。

2022年は勝つことの喜びと難しさの両方を経験した1年でした。
6月の日本選手権で連覇を達成。
7月、初めて出場した世界陸上では予選を突破し、準決勝に進みました。

しかし、シーズン後半、調子を落とします。
8月に腰を痛めた影響もあり、思うような成績が出せないまま、シーズンを終えました。

「なかなか2021年の走りがあまり体現できてないなってのがあって」

得意な前半で貯金を作り、逃げ切るのが黒川選手のスタイル。
しかし8月以降は、前半を意識するあまりに力みが生じ、後半につなげることができませんでした。

「やっぱり力みが前半であると、後半もやっぱりしんどくなってくると思うんで、前半でしっかりリラックスして走るっていうのを意識して取り入れているところではあります」

もうひとつ、克服しなければならない課題が見つかりました。

世界陸上で感じた海外選手との「ストライドの差」=ハードル間の歩数の大きな違いです。

「日本のレースプランだと前半13歩で行って、後半15歩で刻み上げるっていうのが日本だと勝てるレースプランなんですけど、海外で勝つってなると、後半も13歩でストライド広めで行かないといけないんで、そういうことを考えるとやっぱり、言い方悪いんですけど、日本の考えから変えていかないと、世界の壁はもう破れないのかなと思ってきてはいます」

今は、後半を14歩で走りきる練習に取り組む黒川選手。走りを変える作業は簡単ではありません。
しかし、克服できれば、世界と戦える自信はあります。

「後半になって乳酸とかもたまってくると、体が動かなくなって小さい動きになってくると思うんで、そこを大きい動きをしてストライドを広げて推進力に生かしていければ、後半もうちょっとのびのびしたまま走れると思うんで、そうすれば結構、前半海外の方にスピードついて行けると思うんで、あとは後半そこを耐えることができれば、やっぱり決勝とかは見えてくるとは思うんで」

去年の経験を、今年の走りに還元します。

2023年には、去年に続き世界陸上が開催されます。
しかし黒川選手が口にした今年、最大の目標はその前に行われる日本選手権での3連覇です。
その理由を聞くと…?

「3連覇したらかっこいいんで、やっぱりなんかかっこいいなって気持ちのほうが高いですね」「3連覇ってかっこいいんで」

とことん論理的にハードルと向き合う姿と無邪気なことば。
素直に気持ちをことばにします。
「いい年になりそう。」
冒頭のことばは、手応えの表れなのかもしれません。
うさぎのように、ピッチで躍動する黒川選手に期待です。