
【日向さんの母・ユウコさん(53歳)】
「数年前にプリントを手に取ったら、その裏にきれいに数式が書いてあって『何これ!』って本当にびっくりして…。それが美しかったんです。数式に対して私はそんなに理解ができない。でもすごく美しくて、これは作品だなって」
ユウコさんによると、日向さんは幼いころから独自の『こだわり』が強く、マイペースだったといいいます。服装やお風呂の順番といった日常のペースを変えることや、人の気持ちを想像することが苦手で、小学4年生のときに病院で『広汎性発達障害』と診断されました。

【母・ユウコさん】
「ちょっと風が吹いても泣くし、服を脱ぐにも泣くし、着せるにも泣くし…。日常生活のささいなことで、本当に火がついたように泣く。癇(かん)が強い子というか、今の言葉で言うと『育てにくい子』という印象だった」

学年が上がるにつれて周りの人とうまくいかないことが増え、5年生のときには不登校になりました。しかしそんな中でも、大好きだったのが絵や刺繍、工作など手先を使うものづくりの世界です。