小説での生成AI利用への期待と懸念
ベストセラーを出している作家の中には、作品に生成AIを使用して、自身の活用方法を披露している人もいる。もちろん、生成AIの使用に否定的な作家もいる。
KADOKAWAは公募賞の『小説 野性時代 新人賞』と『横溝正史ミステリ&ホラー大賞』で、生成AIの補助的利用を認めている。一方で、既存の作家が生成AIを活用することについては、期待と懸念を挙げた。
「創作を補助する手段として適切に活用される限りにおいては、一つの選択肢であると捉えています。構想整理やリサーチ補助、アイデアの壁打ちなど、これまでも、辞書や文献、編集者との対話が果たしてきた役割と本質的には近いものがあります。
生成AIの活用によって制作プロセスが効率化され、作者がより創作に集中できる環境が生まれることで、作品の質向上につながる可能性があることを期待しています。
懸念としては、どこまでが人間の創作といえるかなど、まだ社会的な議論の途中にある部分も多く、引き続き動向を注視していきたいと考えています」

ここまで見てきたように、現状では生成AIの利用について、「補助的利用は容認」とする公募賞は多い。一方で、文章の生成については「禁止」か「一部利用は容認」に分かれ、まれに全て利用を認めている賞もある。いずれにしても、各編集部は生成AIとどう向き合っていくのかを試行錯誤している最中だ。
ただ、小説にとって生成AIの進化が無視できない状況になっているのは間違いない。数年後、小説と生成AIの関係はどのような形になっているのだろうか。
「調査情報デジタル」編集部(田中圭太郎)
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














